2024年 4月 20日 (土)

MERSで追いつめられた朴槿恵大統領 慰安婦「交渉最終段階」発言は目くらまし

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   いわゆる従軍慰安婦問題をめぐる韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の発言が、日韓の外交当局者を困惑させている。

   朴大統領は米ワシントン・ポスト紙に「相当な進展(considerable progress)」があり、交渉は「最終段階」だと述べたのだが、韓国メディアからは「進展」の内容が聞こえてこず、日本側も「発言の趣旨が明らかではないのでコメントは控えたい」と、そっけない。本当に「進展」はあったのか。日中の距離が近づくなか、朴大統領の外交姿勢をめぐっては「対日強硬姿勢が韓国の孤立を招いた」といった批判も根強い。中東呼吸器症候群(MERS)の流行が支持率の低下に追い打ちをかけており、根拠の薄い発言を「アドバルーン」にして事態の打開を図った可能性もある。

  • 朴槿恵大統領のインタビュー波紋を広げている
    朴槿恵大統領のインタビュー波紋を広げている
  • 朴槿恵大統領のインタビュー波紋を広げている

「進展」の具体的内容は「水面下の議論がある」と明らかにせず

   安倍晋三首相と朴大統領の首脳会談はいまだに実現しておらず、日本側は「対話のドアは常にオープン」と繰り返す一方で、韓国側は従軍慰安婦問題をめぐる謝罪が会談の前提だと主張し続けている。

   2015年6月11日に米ワシントン・ポスト紙が掲載したインタビューでは、朴大統領は安倍首相と会談する予定があるか聞かれ、こう答えた。

「安倍首相とは、これまで何度も関わりがあった。従軍慰安婦の問題では相当な進展があり、交渉は最終段階だ。日韓国交正常化50周年は非常に有意義なものになると期待している」

   「進展」の具体的な内容については、

「明らかに水面下の議論があるので、議論の内容については公表を控えたい」

として言及を避けたが、安倍首相が慰安婦に謝罪する必要性については、

「被害者は52人しか生存していない。さらに亡くなる人が増える前に、日本には(元慰安婦女性の)傷をいやし、名誉をもたらす義務がある」

と述べ、「謝罪」という単語を直接口にするのは避けた。

日韓外交当局は局長級協議を8回にわたって開催

   日韓の外交当局は慰安婦問題について14年1月から局長級協議を繰り返し開いており、6月11日には8回目の協議を開いたばかり。

   聯合ニュースによると、韓国外務省の高官は、

「(日韓の当局者どうしが)8回も会ったことを考えると『相当な』進展がなかったというのも、おかしな話だ」

と話し、協議で何らかの成果が出ているのは当然で、大統領が取り立ててインタビューで強調するほどのものではないとの見方を示した。朝鮮日報も、

「1年以上(慰安婦関連の)交渉を続けてきた。確かに進展はある」
「最終合意を楽観し過ぎたり、先走って考えたりもしないでほしい」

といった政府当局者の声を伝えた。

   日本側は、さらに朴大統領の発言を突き放しているように見える。菅義偉官房長官は6月15日午前の会見で、局長級協議の意義を強調しながらも、大統領発言については「趣旨が明らかではない」と、そっけない。

「慰安婦問題を含め、日韓の間には様々な懸案がある。これについては局長級の協議等で議論が行われており、今後とも粘り強く協議は続けていきたいと思っている。朴槿恵大統領の発言の趣旨、これは明らかではないが、これまでの局長級の協議、その経緯については外交上のやり取りであって、これまで明らかにしてきていないし、コメントは控えたいと思う」

慰安婦の賠償問題は「完全かつ最終的に解決された」との立場変えず

   日本政府としては、従軍慰安婦に関連する賠償問題は、1965年の請求権協定で解決済みだとの立場だ。菅氏も会見で「その立場は変わっていない」と述べた。請求権協定では、日韓両国の国民の間の請求権についての問題が「完全かつ最終的に解決された」としている。

   日韓の慰安婦問題をめぐる交渉では、野田政権時代の2012年に日本側が(1)首相が元慰安婦の女性におわびの手紙を出す(2)「道義的責任」に基づく支援金を支払うことなどを骨子とした妥協案を非公式に示したことがあるが、「法的責任」にこだわる韓国側が受け入れなかったという経緯がある。菅官房長官の発言からすれば「完全かつ最終的に解決された」という日本側の立ち位置に変化はないことになり、朴大統領が言う「相当な進展」が何を指すのかは見えづらい。

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