安倍首相の「言葉」に違和感覚える人々 消費増税「再延期」で豹変

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   安倍晋三首相がこれまで、2017年4月に実施すると明言していた消費税率の10%引き上げを撤回するとの見方が各メディアの間で固まってきた。主要国首脳会議(G7、伊勢志摩サミット)終了後、政府・与党内で調整に入り、合意が得られれば国会会期末の2016年6月1日にも見解を表明するとみられる。

   安倍首相は2014年11月に景気悪化などを理由に15年10月の消費増税を1年半延期しており、今回も延期すれば2回目。延期の期間は19年中までの2年程度とする案で調整しているとされる。

  • ついに「消費増税」の再延期を決断か・・・
    ついに「消費増税」の再延期を決断か・・・

「雇用改善」を強調しながら、「リーマン・ショック前」?

   これまで安倍晋三首相は、消費増税の再延期について、「リーマン・ショック並みの経済危機」あるいは「東日本大震災級の大災害」が起らない限り、「2017年4月」の実施に踏み切ることを明言していた。

   半面、実施するかどうかの決断を、伊勢志摩サミットの議論を踏まえて判断するとも語っていた。最近の世界経済の減速に熊本地震が重なり、これらの影響を懸念する向きがあることも確かだ。

   しかし、サミット開幕前、野党が「アベノミクスは失敗した」と攻勢を強めると、安倍首相はアベノミクスがはじまった2013年から失業率は4.3%から3.5%にまで改善したと、「雇用改善」を強調。2016年3月の有効求人倍率も1.30倍と約24年ぶりの高水準だったことを成果として挙げた。

   政府の5月の月例経済報告でも、熊本地震の影響が懸念されるなか、基調判断を「先行きは緩やかな回復が期待される」と2か月連続で据え置いた。景気回復に「急ブレーキ」がかかった印象はあまりない。

   世界的にも、米国の失業率はリーマン・ショック前の2008年8月は6.1%だったが16年4月には5.0%にまで改善した。リーマン・ショックの引き金となった金融市場も安定している。

   さらに、国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し(2016年4月公表)によると、世界経済の実質国内総生産(GDP)成長率はリーマン・ショックのあった2008年が3.0%、09年がマイナス0.1%、10年が5.4%、11年4.2%、12年3.5%、13年3.3%、14年3.4%、15年3.1%、16年(予測値)3.2%で推移している。日本は、2008年がマイナス1.0%、09年がマイナス5.5%、10年4.7%、11年がマイナス0.5%、12年1.7%、13年1.4%、14年がマイナス0.0%、15年0.5%、16年(予測値)は0.5%で推移した。

   単純に、世界経済をみても日本のGDP成長率をみても、「リーマン・ショック級」の経済危機が迫っているような水準とは言えそうにない。

   ところが、安倍首相は豹変。伊勢志摩サミットでは「リスク」を強調してみせた。5月26日午後、安倍首相は世界経済の現状認識について、2008年のリーマン・ショック前後と現在の経済指標を比較したグラフを並べて説明。エネルギーや食料、素材などの商品価格について、「最近の2014年6月~16年1月にはリーマン・ショック前後の08年7月~09年2月と同じく55%下落した」こと、また中国など新興国や途上国の投資の伸び率については、「リーマン・ショック後の2009年は05年以降では最低の3.8%だったのに対して、15年は2.5%とさらに落ち込んだ」などと、類似点を指摘した。

   「いまはリーマン・ショック級ではないが、将来の下振れリスクはある」と、経済危機の再燃を警告。各国首脳に財政出動を促した。

   結果的に、各国の財政出動への足並みはそろわなかったものの、安倍首相は消費増税を再延期の前提となる「リーマン・ショック級の経済危機」に言及した。「消費税再延期」に道筋をつけるため、豹変した感は否めない。

   7月の参院選に向け、野党との争点を避けて、与党側に有利な状況で選挙に持ち込もうという戦略と見られている。

「財政出動は一時しのぎ」

   安倍首相の豹変ぶりに、違和感を覚えた専門家らは少なくないようだ。

   2016年5月27日付の日本経済新聞で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所の嶋中雄二所長は「世界経済がリーマン危機前の状況に似ているというのは言いすぎ」と指摘した。たとえば、「いまの(商品価格の)低下のスピードはリーマン後より緩やか」で、「中国経済も底入れしつつある」とみている。また、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「財政出動で国際協調を目指すことを、国内で消費増税を先送りする説明にしたいという構図」としている。

   J‐CASTニュースの取材に対して、第一生命経済研究所経済調査部の首席エコノミスト、熊野英生氏も「ちょっと違うな、という感じ」と、違和感を口にする。

   熊野氏は「リーマン・ショック前というのは米国発の金融バブルが弾け、米金融機関のリスクテイクが行き過ぎた結果に起ったものです。しかし、現在は景気の回復基調が鈍く、思うように加速しない状況のリスクです。この段階での財政出動というのは、一時しのぎでしかありません」と説明。「成長戦略によって供給能力の高度化を図る必要があります」という。

   そもそも、消費増税は「社会保障と税の一体改革」が目的。少子高齢化の進む日本の社会保障を持続可能にすることや、社会保障の財源を若者につけ回ししないで、可能な限り現役世代の責任でまかなうようにすることが目的のはずだ。

   熊野氏は、「消費税の再延期は『社会保障と税』の問題の先送りでしかありません」とも指摘している。

   安倍首相は27日のサミット閉幕にあたっての記者会見でも、明確に「増税先送り」は表明することはしなかった。6月1日ともされる正式決定の際、安倍首相はどのような説明をするのだろうか。

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