2024年 3月 29日 (金)

ビールメーカーVS財務省 「発泡酒など増税」めぐるバトル

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   2017年度の税制改正で、ビール類の酒税の見直しが議論されることになった。ビールを減税、発泡酒や第3のビールは増税し、統一しようというのだ。財務省にとっては長年の悲願といえるテーマだが、ビールメーカーや消費者の反発も根強い。

   ビール類の税金をめぐる動きは、メーカーと財務省・国税庁の攻防の歴史と言える。そこに新たな1ページが加わりそうだ。

  • ビール類の酒税を見直すか否か
    ビール類の酒税を見直すか否か
  • ビール類の酒税を見直すか否か

節税か消費者のための技術開発か

   1980年代末、酒類販売免許の緩和でディスカウントストアなどがビールを扱うようになって低価格競争が始まった。小売価格の半分弱を酒税が占めるため、価格を下げるのにも限度があるが、そのスキを突く形で安い輸入ビールを扱う店が増えたことから、日本メーカーは麦芽67%以上というビールの要件を下回る税率の低い発泡酒を開発。1994年のサントリー「ホップス」を皮切りに、1995年のサッポロ「ドラフティー」が続いて、低価格を武器に順調に売り上げを拡大していった。

   これに対して財務省は1996年、麦芽率50%以上の発泡酒をビールと同じ税率にする「発泡酒狙い撃ち」の酒税改訂を実施。これに対し、麦芽を25%未満にした「スーパーホップス」(サントリー)を投入、1998年には、キリンが「麒麟淡麗<生>」で、2001年にはアサヒが「本生」(現アサヒ本生ドラフト)で発泡酒に参入してメーカーが出そろった。その後、健康志向に応えてカロリーカットなど商品のラインアップも充実し、全盛期を迎える。

   さらに、2003年、酒税法が改正され発泡酒は増税されたことから、メーカーは新商品開発に励み、2004年2月のサッポロ「ドラフトワン」で、麦芽以外の原料で作った「第三のビール」の時代に突入。その後、第三のビールの増税・ビール減税などの微調整を経て現在に至る。

   現行の税額は、350ミリリットル当たり、ビール77円、発泡酒47円、第三のビール28円。税額の差は小売価格に直結し、ビールは第三のビールの約1.5倍程度とされる。

   財務省が税率の格差是正を狙うのは、似たような飲料なのに税額が異なることで市場に生じているひずみを是正したいから。端的に言えば、「税額の安いビール類の開発競争ばかり進み、税収減にもつながっている」という不満だ。

   これに対し、メーカーは、決められたルールの中で税額の低い第三のビールなどの技術開発に力を注いできただけに、「財務省の都合で後から『土俵』を変えられるようなもの」との思いがある。

   税制のスキを突いて節税を図るものか、消費者により安い商品を届けるための技術開発か、という認識の違いが根底にあるわけだ。

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