2024年 4月 24日 (水)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
五番街、警官も支持するベトナム戦争以来のデモ 

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   あんな五番街を見たのは、初めてだった。マンハッタンの中心を南北に貫く大通りの中心部が、人とプラカードで埋め尽くされた。私は、アメリカ人の友人たちと待ち合わせ、彼らのひとりから手渡された小さな星条旗を手に、数十万人とともにトランプタワーへ向かって行進した。

   大統領就任式の翌日(2007年1月21日)に行われたWomen's March(女性の大行進)。もともとワシントンDCで企画されたこの草の根の運動は、ニューヨークをはじめ全米各地、そして世界中に広がった。

  • ブランドショップの2階から見た、五番街の「女性の大行進」
    ブランドショップの2階から見た、五番街の「女性の大行進」
  • ブランドショップの2階から見た、五番街の「女性の大行進」

デモの女性が「猫耳帽子」をかぶる理由

   「こんな大規模な反対運動は、ベトナム戦争以来、見たことがない」とその時代を知る人たちは、口をそろえる。

   主催者らはこのデモについて、「女性の権利を人類の権利とし、さらに広く、移民、人種、性的少数者、宗教、環境保護、ヘルスケアなどに関する法律や政策において、人権と公正が守られるように」連帯して声をあげるもので、「具対的にトランプ新政権を批判するのが目的ではない」としていた。が、当日は、女性や移民、マイノリティ(少数者)に対するトランプの発言が差別的である、と抗議する人たちで、五番街はあふれた。

「Say it loud! Say it clear! Immigrants are welcome here!(大声で言おう! はっきり言おう! ここで移民は歓迎、と!)」
「Donald Trump has got to go! Hey hey, ho ho! (ドナルド・トランプは去るべきだ! ヘイヘイ、ホーホー!)」
「The people united will never be defeated!(団結する人々は、決して負けない!)」

   誰かが声をあげると、皆が一緒になって大声で繰り返す。

   男性や家族連れも多い。車椅子で行進する女性もいた。

   この街で生まれ、ここにずっと住み続けてきた88歳の女性は、生まれて初めて行進に参加したという。

「品のかけらもないトランプに、私の国を代表してほしくはない。ここに来て、声をあげずにはいられなかったのよ」
 

   大行進では、女性器を表す卑語「pussy(プシー)」が、盛んに飛び交っていた。以前、トランプが男同士の会話で、「スター(人気者)には、女は何だってさせるさ。あそこをつかむ(grab them by the pussy)んだって、何だって」と口にしたことに対する抗議だ。

   多くの女性たちが、猫耳の付いたニット帽「pussy hat(プシー・ハット)」を被って参加した。「pussy cat(プシー・キャット)」は「子猫ちゃん」という意味があるからだ。

   仕事仲間と参加したグラフィックデザイナーの男性(32)は、

「トランプは自分のことしか考えてない。恐怖をあおり立てて、支持を得ているだけだ」

と激しく批判する。

   生後8か月の赤ちゃんにお乳をあげながら歩く若い母親は、「トランプ氏、この子の将来はあなたにかかっています」と書かれた大きなサインを首にかけている。

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