2024年 4月 19日 (金)

高カカオチョコレート:食べると脳が若返る? 国家プロジェクト並みの研究本格化

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   チョコレートの健康効果がスゴイことになっている。「脳の若返り効果が期待できそう」と安倍内閣が本腰を入れて研究に乗り出した。といっても甘いホワイトチョコではない。カカオ成分が70%以上ある、ちょっと苦い高カカオチョコだ。

   2017年1月18日、内閣府は東京・日本橋三井ホールに報道陣を集め、菓子メーカーの明治と共同で行なった「高カカオチョコを食べると大脳皮質の量が増加し、学習機能を高める可能性がある」という研究報告を発表した。

  • 健康効果がスゴイ高カカオのチョコ
    健康効果がスゴイ高カカオのチョコ
  • 健康効果がスゴイ高カカオのチョコ

年をとると減るはずの大脳皮質が増えた

   この研究は、内閣府が進めている「革新的研究開発推進プログラム」の1つの「脳情報の可視化と制御による活力あふれる生活の実現」をテーマにしたものだ。難しい言葉が並ぶが、わかりやすくいうと、脳に関する研究で目に見える革新的な成果を上げているものを選び、国がバックアップして「脳情報産業」に育てる狙いがある。これまで明治が何度か発表してきた高カカオチョコの研究に注目し、内閣府のチームも研究に参加した。

   明治の発表資料によると、官民共同研究チームは、45~68歳の男女30人(男女とも15人ずつ)に、カカオ分70%以上の高カカオチョコを毎日25グラム、4週間食べ続けてもらい、その前後の脳の健康度を「大脳皮質の量」(BM-BHQ)と「神経繊維の質」(FA-BHQ)という2つの観点から評価した。

   その結果、「BM-BHQ」が高カカオチョコの摂取前は平均で94.7ポイントだったのが、95.8ポイントに増えた(平均1.1ポイント増加)。「BM-BHQ」の値は平均が100になるように設定し、普通なら年齢とともに数値が低くなる。この値が有意に増加することは、「脳の若返り」を意味し、新しいことを学べる能力が高まる可能性をしめすという。もう1つの「FA-BHQ」は情報伝達の効率性を示す数値だが、有意な変化はなかった。

   ただし、今回はあくまで実証実験で、本格的な研究はこれからだ。2017年1月20日付朝日新聞デジタルによると、内閣府研究班を統括する山川義徳プログラム・マネジャーは記者会見でこう語った。

「この結果で脳の若返りが証明されたわけではない。そのためには、今後さらに大規模で長期的な実証研究が必要になる。今回あえて中間報告をしたのは、様々な企業や個人を巻き込みながら(高カカオチョコの)情報を広く共有し、開かれた科学を目指す試みにするためだ」

   何やら、チョコの板切れ1枚が国家的なプロジェクトになりそうな勢いだ。

週1回の「お通じ」が週5回に

   高カカオチョコの健康パワーの源は、カカオ豆に豊富に含まれるカカオプロテインとカカオポリフェノールといわれている。その秘めたる力をNHK「あさイチ」(2016年2月3日放送)が特集した。番組では便秘解消の実験を行なった。便秘に悩む30~50代の女性8人に、カカオ70%以上の高カカオチョコレートを毎日25グラム、2週間食べ続けてもらった。平均週に1~2回だった「お通じ」が、週5回に改善した。カカオ成分の研究を続けている古賀仁一郎・帝京大学准教授がこう説明した。

「カカオ豆に含まれている消化されにくいタンパク質の『カカオプロテイン』が食物繊維と同じような働きをするのです。そのうえ、腸内細菌のエサとなって腸内環境をよくするためだと思われます」

   カカオ豆には「カカオポリフェノール」と呼ばれるポリフェノールも豊富に含まれている。番組では、ポリフェノールが多い食品をランキング化する「P-1グランプリ」を行なった。結果は高カカオチョコが1位だった。

(1位)カカオ72%のチョコ(25グラム)......635ミリグラム
(2位)リンゴ1個(300グラム)......370ミリグラム
(3位)春菊1袋(160グラム)......340ミリグラム
(4位)赤ワイン1杯(125ミリリットル)......300ミリグラム
(5位)コーヒー1杯(140ミリリットル)......280ミリグラム
(6位)ゴボウ1本(200グラム)......188ミリグラム
(7位)豆腐1丁(300グラム)......140ミリグラム
(8位)緑茶1杯(90ミリリットル)......70ミリグラム

脳神経を活発化する成分が2割もアップ

   番組には、2014年に明治との共同研究で高カカオチョコが脳の活性化が期待できることを突きとめた愛知学院大学の大澤俊彦教授が登場した。大澤教授らは愛知県内に住む健康な45~69歳の男女347人に、毎日カカオ72%のチョコを25グラム、4週間食べてもらった。そして血液を調べると、脳の神経細胞の活動を促進する「BDNF」(脳由来神経栄養因子)の濃度が、チョコを食べる前に比べ平均で2割もアップしていた。

   大澤教授は「アルツハイマー型認知症の患者では、『BDNF』の量が少なくなっていることが報告されていますから、高カカオチョコが認知症の予防につながるのではないかという研究が始まっています」と語った。

   大澤教授らの調査では、同時に血圧を下げる効果も確認された。血圧が高めだった人々の最大血圧、最低血圧の平均値がどちらも約5 mmHg低くなった。こうした効果は、カカオポリフェノールの強力な抗酸化作用で、血管がしなやかになったためだという。

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