特番

2. 山口先生憧れの安東の酒

2007/4/28 19:21

特産の焼酎を求めて

   洛東江(ナクトンガン)を渡って安東(アンドン)の市街へ入ると、またもや日は暮れていた。ここでもひとまず駅前の広場に立つ。狭い小路の奥に照明の入った赤い看板がごちゃごちゃと見え、体は自然とそちらへ向かった。

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ヘムルタン。日本語でいえば「海鮮鍋」だ
ヘムルタン。日本語でいえば「海鮮鍋」だ

   「今夜は焼き肉にしましょうか。ちょっと高くつくかもしれませんが」という姜(カン)先生の提案に、誰が異議を差し挟もうか。「ソカルビ」(牛のスペアリブ)の表示があがる店に入る。翌朝わかったことだが、この路地は「カルビ横丁」というのだった。女将さんを中心に、夫、姑、娘たちと、一家総出。次から次に押し寄せる客に立ち向かって、猛然と働いていた。

   近所に安宿はないかと尋ねると、夫は込み合う客をほったらかして、旅館まで案内してくれた。タバコを一服したりし、いい息抜きが見つかったという風だった。

   「ここが安東なんですね。安東に来ることができて、ぼくは幸せです」。山口先生が、いちどは訪ねたいと願っていた土地だった。儒教と両班(ヤンバン)文化のふるさとであるのもさることながら、「安東焼酎」を特産とするためである。とりわけ無形文化財・趙玉花(チョー・オクファ)女史が製造するそれは、磁器の瓶に入っていて、格調が高い。味と香りに少し癖があり、筆者は一口いただいてあとは遠慮したが、先生は旅行中ずっと瓶を抱いて過ごし、飲み尽くしたのちの空瓶を日本に持って帰った。

(続く)

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