2024年 4月 20日 (土)

キムタクの「老け」を指摘 文春の斬り口に軍配

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   「キムタク老いたり!」。文春と新潮が、5月23日から始まったキムタク主演の「MR.BRAIN」について特集している。草なぎ剛の逮捕や中居正広主演ドラマも大コケで、「SMAP」存続の危機が叫ばれている。そんな中、TBSが総力を挙げ、キムタク自らも番組宣伝のためにあちこち出まくって、何とか初回は24.8%の視聴率をとって、関係者一同ホッとしているようだが、新潮は「『キムタク』が異様な大宣伝で挑んだ『MR.BRAIN』の出来栄え」の中で、作家の麻生千晶さんに、「あれだけ自分の番組ばかり宣伝して、テレビ局は免許事業と言えるのかしら」といわせているが、切り口では文春のほうが何倍もおもしろい。

平成の高倉健に?

   「キムタク『MR.BRAIN』は脳に悪いよ」で、ライターの今井舞氏は、キムタクを出して失敗は許されない、局、いや、テレビ業界挙げての鬼の形相がひしひしと伝わってくるとして、「そうやって必至にキムタクにしがみつけばしがみつくほど、テレビ界と見ている私たちの距離はどんどん開く。もう我々はキムタクに対して、そこまでありがたみを感じてない」とばっさり。「キムタク人気が下がった最大の理由は、彼が『老けた』せいだ。パサついて脂っ気のない髪。パンパンで分厚いのに水分のない、錦野旦みたいな肌。深いシワ。ふとした瞬間のアゴの肉のたるみ。完全に質感がもう『中年』だ。(中略)キムタクから皆の心が離れたのは、死んでも『若者枠』のカテゴリーから離れようとしない、その往生際の悪さのせいだ」(同)。

   この後に続く言葉にしびれたね。

   「歳を重ねたら、それなりにふさわしい役を演じればいいものを、あくまでも『若者』でいたがる見苦しさ。キレイでカッコいい若者役なら、もう本物がいくらでもいるというのに、同じ土俵でイケメン勝負。しかも八百長。そんな茶番、誰が見たいか」

   先日、クリント・イーストウッド監督・主演の「グラン・トリノ」を見た。頑固な老いぼれを演じ、若くて凶暴なちんぴらたちに挑んで、見事な死に花を咲かせるイーストウッドに、高倉健の姿を重ねた。いくつになっても、若い頃の「昭和残侠伝」花田秀次郎のような役しかやらない健さんにこそ、こうした役をやってもらいたいものだ。

   老境に入り、孤高を保っている男が、やむにやまれず、ドスをひっさげて敵方へ斬り込み、死んでいく。最後は観客が全員立ち上がり「唐獅子牡丹」の大合唱。

   それでこそ、健さんも、彼の後ろ姿に熱狂した我々世代も、これからの老いさらばえていく人生を、思い残すことなく生きることができるのだ。

   キムタクは平成の高倉健になろうとしているのだろうか?

   どちらにしても、1つの事象を取り上げても、書き手の違いによって、これほどおもしろくなるという見本のような記事である。

   いつもいっているように、雑誌は編集長の主観でつくる。誌面に、編集長の体臭が感じられない雑誌は読んでいておもしろくないが、このところの朝日がすごい! 編集長の怒りが1冊丸ごと出ているのだ。今週も、補正予算15兆円は「究極の無駄遣い」だ、日本郵政の西川善文社長が居座ろうとしているのは「クーデターか」、パフォーマンス男・舛添厚労相には「五つの大罪」がある、麻生・鳩山両党首こそ「世襲の権化」だと怒り、「編集後記」でも、定額給付金は景気回復に効果があったのかと怒る。朝日新聞も、これぐらい本気で怒ってくれれば、もっと紙面がおもしろくなるのにね。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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