2024年 4月 26日 (金)

「公園の音」大人がぶち切れる その意外な解決策

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<テレビウォッチ>「公園がうるさい」と各地でトラブルが続出しているという。子どもの声がうるさい?

   東京・足立区では、23時から警備員が公園を巡回してまわり、深夜花火をしたり歌ったりする若者に、帰宅をうながす。5月には、20代の若者にしか聞こえない周波数の、不快な音をだす装置を取り付けた。が、効果はいまひとつのようだ。

騒音と煩音との区別

   区にはやたら苦情がとどく。子どもたちのサッカー、ローラー滑り台、ボールの音……なかには、池のカエルの声がうるさいとまで。末広公園で40年も続いているラジオ体操も、苦情で音量を4分の1にした。

   公園はどこも「大声禁止」「ボール遊び禁止」などの看板だらけだ。逆に親たちからは、「じゃあ、どこでキャッチボールするんですか」と不満の声があがる。

   足立区が神経質になるのには、理由がある。西東京市のいこいの森公園で、噴水で遊ぶ子どもの声がうるさいと、近隣住民が裁判を起こし、裁判所が騒音と認めたため、噴水をとめてしまった例があるからだ。

   どれも、昔は問題にもならなかった音ばかりだ。前出の末広公園の際に長年住む女性は、「最近気になり始めた」という。かつては、遊んでいる子の親と知り合いだった。しかし、今はどこの子かもわからず、ストレスになるという。何が変わったのか。

   橋本典久・八戸工大大学院教授は、「近所の人間関係がなくなり、地域への帰属意識もなくなり、公園は他人のものになった。子どもの顔も知らず、被害者意識だけになる」という。

「公園の音は『騒音』ではなく『煩音(はんおん)』。小さな音でも煩わしいと感じる。利用者は普通に使ってるつもりだから、双方が被害感をもってしまう。この2つは区別して対応しないと解決できない」

スケボーに「苦情なし」のワケ

   地域と共同で公園を運用しているところがあった。京都市南区の「火打形公園」のスケートボード場だ。多いときは日に100人近くのボーダーが、朝8時から21時まで滑る。大変な騒音だが、周辺28軒の民家から苦情は来ない。

   スケボー仲間のリーダーが、ルールを作って地域に申し入れたのだ。汚さない、時間を守る、ルールを破るものがいれば、閉鎖を受け入れると。他の公園からはすでに閉め出されていた。

   住民は初め反対だったが、挨拶をするようになり信頼関係ができ、今では共同で清掃作業をしたり、スケボー教室を開いたり。すると、音が気にならなくなった。「内容がわかっているからね」

   橋本教授は、「いい実例になっている。誠意を持って対応するのがなにより」という。アメリカでは、公的機関として、ボランティア調停員が当事者を徹底的に話し合わせて、解決策をみつける仕組みがあるそうだ。

   それも、調停案を出すのではなく、妥協でもない。あくまで当事者が納得するまで話を重ねるのだという。「時間がかかるが、日本では地域の作り直しが必要だ」と。

   当事者同士が話し合いで解決するには、地域社会への強い参加意識が必要だ。

   何でも「第三者機関」頼りの日本では、まだ無理か?

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2009年10月5日放送)
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