2024年 4月 23日 (火)

佐村河内守「やめるなら妻と一緒に自殺する」と脅し!感動話の裏の醜悪な素顔

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ゴーストライター・新垣隆「高橋大輔選手に自分の曲使われ『もうダメだ…』」

<「私は18年間、佐村河内守のゴーストライターをしてきました。最初は、ごく軽い気持ちで引き受けていましたが、彼がどんどん有名になっていくにつれ、いつかこの関係が世間にばれてしまうのではないかと、不安を抱き続けてきました。私は何度も彼に、『もう止めよう』と言ってきました。ですが、彼は『曲を作り続けてほしい』と執拗に懇願し続け、私が何と言おうと納得しませんでした。
   昨年暮れには、私が曲を作らなければ、妻と一緒に自殺するというメールまで来ました。早くこの事実を公表しなければ、取り返しのつかないことになるのではないか。私は信頼できる方々に相談し、何らかの形で真実を公表しなければならない責務があるのではないかと思い始めたのです」>

   『TIME』誌に「現代のベートーベン」とまで書かれた作曲家・佐村河内守氏(さむらごうちまもる・50)は「ペテン師」だったと『週刊文春』がスクープし、大きな話題を呼んでいる。新聞やスポーツ紙、ワイドショーでは数日前から騒ぎになっているが、時間的にいえば、週刊文春が取材し、その新聞広告を手に入れた新聞社がその事実を知り、新聞社名では出しにくいので共同通信に情報を渡し、共同通信が書いたということになるのではないか。

   佐村河内氏は広島生まれの被爆2世で、全聾者の作曲家として一躍有名になった。2011年に発表した80分を超える「交響曲第一番HIROSHIMA」(演奏・東京交響楽団)は、クラシック界では異例の約18万枚のセールスを記録したという。

   また、昨年3月31日(2013年)に放送された「NHKスペシャル」の「魂の旋律~音を失った作曲家」では、東日本大震災の被災地の石巻、女川を訪ねながら創作する過程が紹介され、それが元で生まれた「鎮魂のソナタ」(演奏ソン・ヨルム)は、番組の反響もあって10万枚の売り上げを記録しているそうだ。

   この番組は私も見たが、佐村河内の名前を知らなかった私も、内容に感動してすぐにAmazonでCDを買って聴いてみた。さほど交響曲には感動しなかったが、被爆2世、全聾者という彼の人生が音楽の隠し味になって、聴く者を感動へと誘っていたことは間違いない。ソチ五輪の男子フィギュアのショートプログラムで、高橋大輔選手が彼の作曲した「バイオリンのためのソナチネ」で滑ることも話題になっていた。

   そこに18年間もの間、佐村河内氏のゴーストライターをやっていたという桐朋学園大学作曲専攻で講師を務める新垣隆氏(43)が「懺悔実名告白」をしたのだから驚いた。2人が出会ったのは1996年の夏のことだという。年上の佐村河内氏は新垣氏にこう切り出した。

<「このテープにはとある映画音楽用の短いテーマ曲が入っている。これをあなたにオーケストラ用の楽曲として仕上げてほしい。私は楽譜に強くないので」>

   新垣氏はこの申し出をあっさり受けた。佐村河内氏が提示した報酬は数万円。それがいびつな二人三脚の始まりとなったと週刊文春は報じている。新垣氏がこう話す。

<「クラシック界では、大家の下でアシスタントが譜面を書いたりオーケストラのパート譜を書いたりすることはままあることです。ところがその後わかったのですが、佐村河内は楽譜に弱いのではなく、楽譜が全く書けない。正式なクラシックの勉強をした形跡もない。ピアノだって、私たちの常識では『弾けない』レベルです」>

耳は聞こえ、楽譜は書けず、ピアノも弾けない…

   新垣氏はお金とか名声がほしくて引き受けたのではなく、自分が作曲した音楽を多くの人に聴いてもらえることが嬉しかったからだと動機を語っている。新垣氏は自分たちを「天才的な大馬鹿コンビ」と自嘲していたというが、まさに奇跡の出会いだったようだ。

   楽譜の書けない佐村河内氏は細かい「構成図」を書いて新垣氏に渡したという。週刊文春によればこうだ。<「中世宗教音楽的な抽象美の追求」「上昇してゆく音楽」「不協和音と機能調整の音楽的調和」「4つの主題、祈り、啓示、受難、混沌」等々 、佐村河内は、ひたすら言葉と図で一時間を超える作品の曲想(コンセプト)を書いている。このコンセプトに沿って新垣は、一音一音メロディーを紡ぎだし、オーケストラ用のパート譜を書き起こしていく。つまり佐村河内はセルフプロデュースと楽曲のコンセプトワーク(ゼロを一にする能力)に長け、新垣は、それを実際の楽曲に展開する力(一を百にする能力)に長けている>

   だが、『新潮45』(13年11月号)に載った音楽家・野口剛夫氏による論考「『全聾の天才作曲家』佐村河内守は本物か」を読んで、新垣氏は不安を持った。野口氏がこう綴っている。<ときにはバッハ風、ときにはマーラー風の美しい響きの瞬間も随所にあるが、それらは刹那的な感動の域を超えることがない(中略) 、「交響曲」の最後で(中略)ほとんどマーラーの交響曲(第3番の終楽章?)の焼き直しのような響き>

   講談社から出した自伝「交響曲第一番」の中の記述などもウソが多く、新垣氏はここで打ち切ろうというアドバイスをしたが、佐村河内氏は受け入れなかった。 思いあぐねた新垣氏は、自分の教え子でもあり佐村河内氏が曲を献呈していた義手のヴァイオリニストの少女の家族の前で、これまでの真相を話し、謝罪したというのである。こうして綻びは大きくなり、砂上の楼閣は崩れ始めた。

   驚くことに「全聾」というのもウソだと新垣氏はいっているのだ。<「実際、打ち合わせをしても、最初は手話や読唇術を使ったふりをしていても、熱がこもってくると、普通の会話になる。彼自身も全聾のふりをするのに、ずっと苦労したんだと思います。最近では、自宅で私と会う時は最初から普通の会話です」>

   米誌がつけた現代のベートーベンという言葉に踊らされ、日本人の多くが騙されていた感動物語は、思ってもみないエンディングを迎えてしまった。

   しかし、こうだから人生はおもしろいのだ。昔、ロサンゼルスで妻を何者かに撃たれ、悲劇のヒーローになった三浦和義氏に「保険金詐欺の噂がある」と週刊文春が連載し、大騒ぎになったことがあった。感動秘話の裏にあるどす黒い真実を暴き出すのも週刊誌の役割である。そういう意味でも、日本中を驚かせた週刊文春は見事である。

   なぜ週刊文春にばかりスキャンダル情報が集まるのだろうか。ここでも何度か書いているが、AKB48のスキャンダルをはじめ、タブーに怖じ気づかず、数々のスクープをものにしてきた週刊文春だから、ネタを持っていけばやってくれるという「安心感」があるからだろう。

   他の週刊誌では、おもしろい話ですがうちではコンプライアンスがうるさくてとか、あのプロダクションとはケンカできないのでとかいった「言い訳」で断ることが多いが、週刊文春にはそうした断る理由が他誌よりはるかに少ないのだ。この騒動が起きたとき、ネタ元は週刊文春だとぴーんと来た。週刊文春恐るべしである。

小林よしのり「安倍は靖国神社にも天皇陛下にも失礼だ!良き日本の破壊者」

   扨。こう書いて読める人はどれくらいいるだろうか。恥ずかしながら、この「さて」という字を最近、倉本聰氏の『獨白』という本で知った。編集者などと自称していても、知らなかったことの多いことが、この年になると嫌というほどわかってくる。まだまだ勉強しなければと思うこの頃である。

   都知事選は新聞を見ていると「脱原発」派の細川、宇都宮両氏の敗色が濃厚のようだが、そうなれば安倍晋三首相が勢いづくことは間違いないだろう。米国景気の先行き不安や消費税値上げがどうなるかという心配材料はあるが、このままいけば持論である集団的自衛権の容認ばかりでなく、憲法改正にまで手をつけてくるかもしれない。

   こうした安倍首相を牽制する力は大メディアにはもはやない。それがあるとすれば保守陣営からではないかとかねがね思っていたが、『週刊ポスト』で小林よしのり氏が「安倍総理は靖国へ行くな」と吠えてくれている。彼のいい分を紹介しよう。

<安倍は靖国神社の本来の意味を全くわかっていない。安倍はダボス会議で海外メディアに対し、「靖国にヒーローはいない」と言ってのけた。また安倍は、「慰霊のために」「不戦の誓い」で参拝したとも言っている。
   ふざけているのか。
   靖国に祀られているのは、戦争に従事して、国のために命を捧げた英雄であり、だからこそ「英霊=秀でた霊」というのだ。靖国とは、そうした英霊たちを誇り高く「顕彰」する神社であって、ただ慰霊するための施設ではない。(中略)
   そうした意味を持つ靖国神社で「不戦の誓い」という、まるで村山談話のような発言をすることがいかに失礼なことか。
   靖国に参拝するということは、自分もいざとなれば国のために戦う覚悟はあるか、仮に尖閣諸島で一触即発のときに身を挺す覚悟があるか、そういうことが問われているのだ。「不戦の誓い」はまるでそれに逆行する言葉である。(中略)
   規制改革にしてもTPPにしても、そして原発推進(小泉は転向したが)にしても、安倍の現在の政策は、本来、日本の共同体が培ってきた愛郷心(パトリオティズム)を破壊するものばかりだ。
   安倍はそうした新自由主義的政策を推進しながら、なお「保守・愛国者」と見られるために、靖国神社を利用した。靖国参拝はもはや新自由主義の隠れ蓑になってしまったのだ>

   さらに、<しかも厄介なことに、それは天皇なきナショナリズムとも結びつく>と断じている。<安倍が国際社会の反発の中で参拝すればするほど、本来靖国神社にとって悲願のはずの天皇陛下のご親拝は遠のくことになる。安倍のせいで、天皇陛下はますます靖国に行きづらくなっていることを、なぜ誰も問題にしないのか>

   全文を紹介できないため、つまみ食いのようになってしまっているが、関心のある人はぜひ一読を。

   安倍首相は、小林氏のいうように「国際感覚の欠如した幼稚な排外主義的ナショナリズム」の持ち主でしかないし、私は韓国の朴槿恵(パククネ)大統領も同類ではないかと考える。だから日韓関係はいつまでたっても光明が見えないのだ。

低い数値しか出ない国のデタラメ放射線測定装置―実際の6掛け!50億円かけ3000か所に設置

   扨、都知事選のテーマになった原発問題だが、残念ながら議論は深まらず、都知事選が終わればまた忘れ去られるのであろう。そうした中で、『週刊朝日』だけは原発問題に取り組み、今週も「怒りのスクープ 国の放射線測定のデタラメを暴く」という大特集をやっている。リードにこうある。

<国は福島の原発事故以降、各地の放射線量を継続的に測定するため、福島とその近隣の学校や公園など三千カ所以上に「モニタリングポスト」という装置を設置した。しかし、50億円近い費用を投入したにもかかわらず、この装置は実際の放射線量よりも低い数字が出ると地元住民の間で評判が悪い。独自測定すると、最大4割超も低く、そのデタラメぶりが判明した>

   ジャーナリストの桐島瞬氏は福島第一原発からおよそ15キロほど北西に離れた浪江町にある山村へ赴き、牧草地に囲まれた集会所の庭に、ひっそりと空間放射線量計測定器(モニタリングポスト)が置かれているのを確かめている。<この場所は放射線量が高いといわれる区域で、赤く表示されていた数字は毎時18マイクロシーベルト。だが、持参した線量計を検出器のセンサー付近(地上高1メートル)に近づけると、けたたましく警報音を鳴らしながら数字はグングン上昇し、毎時27マイクロシーベルトを記録したのである>

   周辺の測定も行うと、なおも上昇し、放射線量は毎時41マイクロシーベルトまで跳ね上がったという。除染の目安となる基準値は毎時0.23マイクロシーベルトだから、実にこの178倍に相当するというのだ。

   琉球大学名誉教授の矢ケ崎克馬氏らの科学者グループ「市民と科学者の内部被曝問題研究会」は2012年10月に、福島県内にある106か所のモニタリングポスト近くの空間線量を独自で測定し、測量値に大きな誤差があること突き止めて告発した。この告発に政府の原子力災害現地対策本部はあわて、翌11月、福島県や関東地方などに設置している可搬型のモニタリングポスト675台が、実際より1割程度低めに値が表示されると発表した。

   桐島氏は<さらに奇妙なのは、「高い数値を示す」ことなどを理由に、契約を解除されたメーカもあったことだ>と追及する。<11年8月、別タイプのモニタリングポスト600台を設置するため、国は放射線測定器業界では新規参入組のアルファ通信と契約を結んだ。(中略)

   だが、仕様を満たさなかったとして文科省に一方的に契約解除されたのだ。文科省は、仕様書にある指示誤差±20%(毎時0.1マイクロシーベルトでセシウム137基準)から外れていたというが、アルファ通信の言い分は違う。

「文科省は自分たちで測定した値と比較し、最大40%も弊社の値が高いからダメだと言い張った。最後はうちの技術責任者が測定データを改ざんしたのではないかと疑いだし、設置をあきらめろと一方的に言われました。信頼性のある米国製の検出器を使い、メーカーから誤差が仕様内に収まっている証明書も受け取りました。改めて測定しても誤差は最大10%程度なのに、文科省は一切認めませんでした」(豊田勝則社長)

   その後、アルファ通信は、契約解除は無効だとして国を提訴、裁判は現在も続いている>

   国は低い放射線量を公式な記録として蓄積し、国民の不安感を覆い隠そうとしているのである。矢ケ崎氏が規制庁の姿勢に呆れこう語る。<「住民が受けている放射線に比べて、モニタリングポストの数字がどれだけ低いかが大切なのです。第一、グレイとシーベルトの単位の違いと言うが、ガンマ線では両者に差はなく、これはICRP(国際放射線防護委員会)でも決まっています。放射線のことを知らない規制庁の担当者が一体、原子力の何を規制できるのでしょうか」>

   週刊朝日は丸ごと「福島県版」「脱原発」週刊誌にしてしまえばいい。いくら日本人が忘れっぽくても、東日本大震災や原発事故だけは忘れてはいけないはずだが、そうした情報が少なすぎるのだから。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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