2024年 5月 5日 (日)

買わなくてよかった!「ふくらはぎ本」そんなとこもんでも長生きしないよ―医者は一刀両断

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<「ふくらはぎをもめば、少しは血流が良くなると思います。しかし、そういうことなら足裏をもんでもいいし、太もものほうがさらに効果があるでしょう。筋肉部分が大きいですから。
   もっと言うのならウォーキングをしたほうが効果はある。大股で腕を振って歩いたほうが、よほど健康になります」(愛知みずほ大学特任教授の佐藤祐造氏)>

   『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(アスコム)が95万部も売れているという。実をいうと私も買ってみようかなと思い始めていたのである。これほど売れているのだから「何か」あるのだろうとAmazon.co.jpで中古本を取り寄せてみようと考えていた矢先、『週刊文春』が「この本はインチキ本だ!」「詐欺商法だ」と決めつける記事が出たのである。

   この本、ふくらはぎをもむだけで「高血圧から糖尿病、がんにまで効果があるというのだ。この本が売れるきっかけになったのは「中居正広の金曜日のスマたち」で3度にわたり特集されたことからだという。3回目には高血圧に悩む芸能人やお笑い芸人が、著者の指導を受けて「食事制限なし」で1か月続け、正常値になったと手放しでほめたから、売れ行きに拍車が掛かった。

   だが、医者たちは医学的に何ら根拠がないインチキ本だと一刀両断なのだ。ふくらはぎが知らせる不調のシグナルとして、<熱くてかたい→高血圧><冷たくてやわらかい→糖尿病>と分類しているが、おない内科クリニックの小内亨院長は「こじつけだ」とにべもない。

<「冷たくてやわらかいのは、結果であって原因ではありません。それはここに書かれているすべての病気に言えますね。結果を治しても原因は治りません」>

   肺がんで背中が痛いのにマッサージを受けるようなものだろう。

   この本を書いたのは2人。監修者として鬼木豊氏、著者として槙考子氏。お茶の水にある治療院「心身健康堂」の理事長と院長である。

   さらに同じ内容の本が4年前にもアスコムから出ているというのだ。タイトルは『たちまちからだが温まる ふくらはぎ健康法』。週刊文春によれば、本文2か所の文言が変わっているだけで、他はそっくり同じなのに奥付には「大幅な加筆訂正により、改題したもの」と書かれている。出版倫理など持ち出さなくとも、こりゃあ少しおかしくないか。そう思った週刊文春が版元のアスコムに取材を申し込んだが、「担当者が終日外出している」と逃げ続けているそうだ。

   それなら本人に直撃しかあるまい。鬼木氏を静岡の伊東市で見つけて「疑問」をぶつける。鬼木さんは医者ではないですねという質問に、「そう、だからワタクシは病気を研究しているんじゃなくて、生き方や人生を研究しているんだよ」

   生き方や人生を研究するとがんや糖尿病が治るのかという至極真っ当な疑問には、「(激昂して)それは違うよ! それはさ、冷え性を良くすると全部、万病に良くなるんだよ」

   冷えを改善すればすべて良くなるのか?

「そいうこと。それが東洋の、西洋のルーツです。そこは勉強しなさい!」

   こうした本をありがたがって90万人以上が買って読んだというのが信じられない。ベストセラーに良書なし。次から次へと出てくるダイエット本や簡単に健康になる本が常にベストセラー上位に顔を出すのは、苦労しないでやせたい、痛い思いをしないで健康でありたいと願うヤワな日本人が増えたためであろう。

   集団的自衛権を容認すれば日本の安全が保てると妄信している安倍首相にどこか似ている気がする。<長生きしたけりゃ、こんなインチキな本にダマされてはいけない>。週刊文春のいうとおりなのであろう。買わなくてよかった。

アベノミクスでいよいよ拡大「暮らし格差」バブルに踊る富裕層、庶民は相変わらずデフレ生活

   『週刊新潮』が今が好景気だという風潮に疑問を投げかけている。街を歩いてみると、夜タクシーを捕まえようと思ってもなかなか捕まらないし、老舗ギャラリーでは1点数千万円もする絵をポンと買う客がいる。銀座の高級寿司屋「久兵衛」には1日に300人以上が詰めかけるし、銀座はどんどん新しいクラブがオープンしているそうだ。

   都内の高級ホテルは稼働率が9割もあり、千代田区の超高級マンションの4億4980万円の部屋があっという間に売れたそうだ。

   6月18日にカナダの金融機関などが発表した「ワールド・ウエルス・レポート2014」によると、金融資産100万ドル以上持つ日本人は前年より43万人も増えて233万人に達した。私のような由緒正しい貧乏人は「ほんとかいな?」と思ってしまうのだが、週刊新潮はこの謎をこう解き明かしてくれている。

<たとえば、総務省が6月27日に発表した5月の「家計調査」によると、一世帯あたりの消費支出は27万1411円。前年同月比と比べると8%も減っているのだ。
   上場企業の給料が増え、インフレ政策を断行したはずなのに、日本全体では使える金がなぜか細っている>

   経済アナリストの森永卓郎氏が種明かしをしている。<「確かに昨年は倒産が減りましたが、一人一人の給料は増えてはいないということです。アベノミクスの恩恵を受けたのは、円安で儲かった大企業と持ち株が上がった富裕層だけ。両方ともカネが余っているから高級品が売れる。都心の不動産も2億円、3億円といったものは即完売ですが、3000万~5000万円といったサラリーマン向けの物件は売れ残ったままです。社会は二極化が進み、庶民は相変わらずデフレ生活です」>

   厚生労働省は先頃、5月の有効求人倍率が1.09倍になったと発表したが、私が見ても「おかしい」と思わざるをえなかった。内訳は土木作業員の求人倍率が5倍超なのに、事務系正社員は0.6倍前後なのだ。ゼネコンにジャブジャブカネをつぎ込んでいるから、そっちのほうの求人が多いのは当たり前だ。貧乏人はますます貧乏に、富める者はますます富んでいくアベノミクスなど止めてしまえ。そう叫びたくもなる。

「国民年金納付率改善」大ウソ!国が勧める「免除・猶予のススメ」支払い求めず辻褄合わせ

   『週刊ポスト』は先週号で、厚生労働省が発表した国民年金納付率「60.9%」はおかしいと報じたが、今週号でも「本当の納付率」は39.9%と4割以下に落ち込んでいるのに、増えているように見せるカラクリは、保険料納付の免除者(384万人)や学生などの猶予者(222万人)を増やして、分母(納付すべき人)から除外することで見かけの納付率を上げるというものだと告発している。

   その証拠に、週刊ポストはこういう実例を挙げる。都内に住む30代の男性Aさんの自宅に、突然女性が訪ねてきた。

「年金のことでお話ししたいことがあるのですが」

   自営業のAさんは現在のマンションに越してきてから2年弱、仕事が忙しくなったこともあって、国民年金の保険料を支払っていなかったので、そのことだろうとピンときたという。しかし60歳前後の女性は、「未納分の平成24年分と25年分について、保険料免除の申請ができるんです。こちらの書類にサインしてください」というのだ。<このやりとりこそ、厚生労働省の「納付率粉飾」を象徴する出来事なのだ>と週刊ポストはいう。

   免除者増やしは国策で、Aさんを訪問した女性はその役割の一端を担っているのだ。玄関先で女性から渡されたのは、「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」というA4判2枚つづりでカーボンコピーになっている。未納分を支払ってくださいという言葉はなく、初めから免除できますというやりとりだった。Aさんは支払う意思や余裕があるかどうかすら聞かれていないのだ。これでは単に払うのを忘れていただけで収めたいと思っている人も免除申請してしまうし、これと同様の未納者訪問が全国で繰り広げられていると週刊ポストは追及する。

   この「免除のススメ」を行っているのは年金事務所の職員ではない。09年からこうした事業は民間事業者に委託されているのだ。保険料収納という事業内容から見れば、未納者に支払いを督促するのが仕事だと誰もが思うだろうが、それが違うという。元年金事務所幹部がこう証言している。

<「上からは、とにかく納付率を上げろとハッパをかけられている。よほどのバカでなければ、そのためには支払いを求めるより免除者を増やすほうが早いとわかります。
   訪問前に一応、支払ってほしいという督促状は送っているが、現場では『免除というお得な制度がありますよ』と勧めているのが現実です」>

   厚労省が納付率を発表した資料の中で、自営業者などの国民年金加入者(第1号被保険者)約1805万人のうち、全額免除・猶予などを受けている人は606万人と前年より19万人増えたことを明らかにした。それとは別に、259万人の未納者がいて、納付者はわずか940万人となっている。納付者は前年より41万人減少し、納付総額も単純計算で200億円以上減っているのだ。

<払う人が減り納められた保険料も減ってる現場を見て、「年金財政は改善に向かっている」という政府の発表、そしてそれをそのまま報じる新聞やテレビの言葉を正しいと感じる国民はまずいないはずだ>

   週刊ポストのこうした指摘に怒りを覚えない国民はいないだろう。<免除者が増えれば、当然ながら年金財政も空洞化が進む。日本の年金制度は現在の高齢者を現役世代が支える仕組み(賦課方式)だから、免除推進はわざわざその支え手を減らす取り組みといえる。

   厚労省がやってることは、年金財政と国民の老後の両方を崩壊させる天下の愚策なのだ>

   なぜこうしたことを新聞やテレビは詳しく報じないのか。官界・財界御用達は日本経済新聞だけではないということなのだろう。

韓国「米軍慰安婦」戦後日本にもあった米兵向け特殊慰安婦施設―アメリカ政府にこそ謝罪求めろ

   案の定というべきだろう。韓国で「米軍慰安婦」だった女性たち122人が、韓国政府に対して国家賠償を求める集団訴訟をソウル中央地裁に起こしたことから、週刊文春は「韓国『米軍慰安婦』実名告発」、週刊新潮は「ならば青瓦台に『米軍慰安婦の像』を!」と鬼の首を取ったように大声で呼ばわっている。

   韓国政府は1960年代から80年代にかけて、在韓米軍のために「米軍慰安婦」を管理し奨励してきた。当時の韓国では売春が禁止されていたのだが、特例をつくりこの政策を推進したのが朴槿恵(パククネ)大統領の父親・朴正煕だったのだ。この問題は昨年11月に韓国国会で取り上げられたが、朴槿恵政権は頬かむりを決め込んだため、女性たちが提訴したのだという。

   週刊文春によると、当時、基地関係の産業は韓国GNP全体の二十五%を占め、うち半分が性産業による収益だったとされるそうだ。週刊新潮によると、朝鮮戦争後休戦協定が結ばれると、米軍基地近くの地域では多くの米軍慰安婦がおり、国家記録院が所蔵していた77年作成の文書には、全国62カ所の基地村に9935人の米軍慰安婦がいたと記されているとソウル特派員が語っている。

   週刊新潮は<彼女たちこそ、文字通り国に『強制』された慰安婦だった>のだから、<彼らが言うところの「日本軍慰安婦」問題の責任と、米軍慰安婦問題のそれを、韓国は同等に論じるべきではないか>と朴槿恵大統領を責めている。

   だが、私には少し違和感がある。第二次大戦中、植民地支配していた朝鮮の女性たちを徴用して従軍慰安婦にしたことと、今回のことを同列に論じるのはおかしくないか。むしろ、敗戦後に占領軍が進駐してきたとき、日本政府によって米軍兵士の相手をする売春婦施設が作られ、多数の慰安婦(総数5万5000人ともいわれる)を置いたことと比べるべきであろう。

   これは占領軍による一般女性に対する強姦事件が多発することが予測されたため、日本政府が「日本女性の貞操を守る犠牲として愛国心のある女性」を募集したのである。しかし、こうした施設を提供したにもかかわらず、米軍兵士たちによる強姦事件は頻発したのだが。

   韓国の慰安所もそうした意味合いを含めて作られたのであろうが、そうした人権を無視した政府のやり方を国は謝罪し、女性たちへ何らかの補償をするべきだと思う。日本ではそうした過去を知られることが恥ずかしいため、名乗り出て国を訴えるケースは寡聞にして聞かないが、もしそうなったら国は謝罪するべきである。

   ここでやるべきことは、駐留したり占領した国の婦女子たちを欲望のままにカネで買って「慰安」された米軍側の問題を追及することであろう。自分の国には公娼制度などない、女性にそうした行為をさせないといい放っているアメリカ人たちに、他国でしてきた恥ずべき行為を認めさせ謝罪させなければいけないはずである。

   安倍首相に真の勇気があるならば、オバマ大統領に韓国や日本で行った米軍兵士たちの「買春」問題で謝罪するよう求めるべきだ。それが対等の関係ということなのだが、アメリカのいうなりになっている安倍首相には期待できないだろう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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