2024年 4月 26日 (金)

水際対策では防げないエボラ日本侵入!感染疑われた男性「防疫官から何も注意なかった」

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   日本への帰国・入国者がもしエボラ患者だったら...。西アフリカで発生しているエボラ出血熱は感染拡大が止まらず、WHO(世界保健機関)が今月1日(2014年12月)に更新したデータによると、感染者数は1万6933人、死者は6002人に達した。

   その脅威が先進国にも広がり、日本では10月以降、感染の疑いがある西アフリカからの帰国・入国者が3件相次いだ。いずれも陰性で感染の疑いは晴れたが、想定外の問題が次々と浮かび上がり、はからずも水際で防ぐための対策や情報提供での詰めの粗さが露呈した。

「熱が上がっただけという意識だったから主治医のところへ行った」

   日本では、空港で西アフリカからの帰国・入国者全員の健康状態をチェックし、発熱があった場合は一般の医療機関には行かせず専門の病院に入院させる体制をとっている。ところが、先月7日にリベリアから帰国した60代の男性のときは、この水際対策がうまく機能しなかった。羽田空港で検疫官から健康状態のチェックを受け自宅に帰った男性が、発熱の症状を感じて自宅近くの診療所を受診してしまったのだ。

   当時、診療所の待合室には風邪の症状を訴える高齢者など10人ほどがいた。診察に当たった医師は男性がリベリア帰りとは知らなかった。当時を振り返りながら医師は、「強烈な伝染病の発熱疾患が町医者に来るわけがないと思ってましたから。男性との間は至近距離ですよね。口の中も診察しますし、(私が)感染した可能性があった」と顔をこわばらせる。

   なぜ男性はエボラ感染を広げたかもしれない行動をとったのか。実は、男性もエボラ感染が疑われていると認識していなかったようだ。「熱が上がっただけという意識だったものですから主治医のところへ行った。(検疫官から)感染の疑いがもたれていると説明があればこういうことは起きなかった」と話している。

   男性は仕事のため1か月間リベリアに滞在し羽田空港に到着した。入国時に渡航歴を申告すると健康相談室に通され、検疫官から健康状態のチェックを受けた。その時の様子をこう話す。

「一般の病院へは行かないでとかまったく説明はありませんでした。ドクター(検疫官)が出てきて、『マスクをしてください』『体温を測ってください』『じゃあ、この紙を持って行ってください』というレベルで終わりでした」

   男性が受け取った紙には「エボラ出血熱の流行国で患者等との接触歴があった方へ」というタイトルで、「発熱などの症状が出た場合、直ちに検疫所に連絡する」とだけ書かれていた。男性はリベリア滞在中にエボラ患者と接触した記憶はなく、自分は無関係と考えていたという。国はこのケースをふまえて、文書に「絶対に直接医療機関に行かないように」という文言を入れた。

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