2024年 3月 29日 (金)

<神様はバリにいる>
堤真一「成金富豪」、尾野真千子「自殺願望の元社長」・・・達者な役者で描く優しくて切なくてお下劣ギャグ連発の人情コメディ

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(C)2014「神様はバリにいる」フィルムパートナーズ
(C)2014「神様はバリにいる」フィルムパートナーズ

   会社経営に失敗して借金を背負った照川祥子(尾野真千子)は、自殺するつもりでインドネシアのバリ島へやってきた。そこで謎の日本人・リュウ(玉木宏)に声をかけられ、アニキ(堤真一)と呼ばれる男と出会う。不動産ビジネスで成功した大富豪だというのだが、どう見てもヤクザだ。半信半疑のまま、祥子は「大富豪になれる秘訣を教える」というアニキらとバリ島で一緒に暮らすようになる。

   監督は「デトロイト・メタル・シティ」の李闘士男で、バリ島で起業し大成功した丸尾孝俊を描いた「出稼げば大富豪」(クロイワ・ショウ著)を原案したコメディである。

パンツ1枚で湖飛び込む体当たりオノマチの魅力

   アニキは眉毛もないし、首から金のネックレスを下げ、「アニキ」と書かれたシャツをいつも着ている。しかし、バリ島の人たちとの縁を大切にしていて、みんなにつくそうとする人情深い男でもあった。「失敗した時こそ笑え」という超ポジティブ思考で、何があってもめげずに笑い、すべての人を大事にする。もちろん祥子もその一人だ。「あんたは胸がタランティーノ」なんてからかわれ、最初は唖然とするが、アニキと行動するうちに人情を大切にすることの意味を分かってきて変っていく。

   お下劣なギャグもたくさん出てくるが、素直に笑って楽しめる。堤真一、尾野真千子、玉木宏、ナオト・インティライミらの演技がそれぞれのキャラクターにぴったりとあっていて、とても魅了される。とくに、気が強く、自信過剰な元女社長の祥子を演じた小野真知子の体当たり演技には拍手を送りたい。パンツ1枚になって崖から湖に飛び込むシーンもあれば、白目をむいてよだれを垂らし失神するシーンもある。ホントにすごい女優さんである。

   祥子を追いかけてやってきたナルシストのストーカー杉田は、空気が読めないし英語も話せない。でも、どこか憎めない。そんな彼を演じた歌手のナオトインティラミに違和感はなく自然である。

   この映画には悪い人が一人も出てこない。みんな実は善い人で最後は助けてくれるという話だ。そういった意味では、シナリオに面白みが欠ける部分はある。そこは役者の演技でカバーされていく。コメディとして楽しめる映画だが、「アニキ語録」には素晴らしい言葉がたくさんある。映画館でもクスクスと笑いが絶えず、なんだか安心して気楽に深く楽しめる映画であった。

PEKO

おススメ度☆☆☆

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