2024年 4月 27日 (土)

電気機器

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現状

デジタル家電で2003年ごろから急速に業績が回復

  日本の電気機器市場は、経済産業省などによると2002年で6兆9488億円ある。従業員数は21万8000人。電気機器市場は洗濯機や冷蔵庫などのいわゆる「白物家電」や、家庭用AV(音響映像)機器、照明器具、パソコンなどが含まれている。生産総額は機械工業全体の1割強を占めており、日本の主力産業の一つといえる。

家電販売店で省エネや、食品へのラッピング不要など効能を競う新型の冷蔵庫
家電販売店で省エネや、食品へのラッピング不要など効能を競う新型の冷蔵庫

  定義によって違うが、日本の大手電気メーカーは9社ある。9社とは日立製作所と、松下電器産業ソニー東芝NEC(日本電気 注 読み方ニッポンデンキ)、富士通三菱電機シャープ三洋電機である。これらにパイオニアを付け加える時もある。2002年の売上高を基にした世界的なランキングでは、日立が3位に入っているのを筆頭に、ソニーと松下、東芝、NECがベストテンに入っている。

「ITバブル崩壊」を受けて業績悪化

  日本の電気機器メーカーは、日本における2001年のいわゆる「ITバブル崩壊」を受けて、通信機器や半導体などの販売がふるわず、業績が悪化。巨額の赤字を計上する企業が続出した。 しかし2003年ごろから急速に業績が回復してきた。背景にはデジタル家電が人気化したことがある。デジタル家電とは、従来の家電をデジタルやエレクトロニクスの高度な技術により高機能化させたものである。デジタル家電をてこに、日本の電気機器メーカーは新たな飛躍を目指している。

「デジタル新三種の神器」が急速に人気集める

「デジタル新三種の神器」はデジタルカメラ、薄型テレビ、ハードディスク付きDVDレコーダーである。もともと「三種の神器」とは、日本の天皇家に代々伝わる宝物を指す。これが転じて、戦後の1955年には「電気冷蔵庫、電気洗濯機、テレビ」が「三種の神器」と呼ばれた。さらに2003年になって、デジタルカメラなど新たな3種類の機器が大ヒットして「新三種の神器」と呼ばれるようになった

デジタルカメラは技術の進歩と量産効果により急速な価格の低下と高機能化が実現し、従来のフィルムカメラに近い画質が実現された。このため、2003年ごろから一般消費者がフィルムカメラからデジタルカメラに乗り換える現象が出てきた。この分野で強いのは家電のソニーと精密機器最大手のキヤノンである。ほかに松下電器産業や三洋電機といった家電メーカーや、オリンパスニコンなどのカメラメーカー、そして富士写真フイルムなどが強みを発揮している。

新三種の神器は、日本メーカーが世界の9割のシェアを持つ

薄型テレビには、液晶テレビとプラズマテレビの2種類がある。液晶はシャープが圧倒的に強い。プラズマは松下電器産業や日立製作所が強い。これらの企業をソニーや東芝、パイオニアなどが追う展開となっている。液晶テレビは30インチ台のものが多い。これに対してプラズマテレビは40インチ以上の大型のものが売れ筋の中心だ

新三種の神器の一角を占める「ハードディスク付きDVDレコーダー」は、単に「DVDレコーダー」と呼ばれることも多い。従来のテープを使ったVTR機器とは違い、番組をハードディスクの中にデジタル的な形で録画し、DVDディスクにダビングする機能をDVDレコーダーは持っている。大量の番組を録画できるほか、編集や頭出しが簡単という特性を持ち、大ヒットした。

こうした新三種の神器は、日本メーカーが世界の9割のシェアを持つともいわれる。機器内部には日本勢が強みを持つ高機能の半導体が使われているケースが多い。この半導体はシステムLSIと呼ばれており、日本のルネサステクノロジNECエレクトロニクスなどの企業が強みを持っている。

「iモード」サービス開始で携帯電話の利用が爆発

多くの買い物客が行きかう東京・秋葉原の電気店街
多くの買い物客が行きかう東京・秋葉原の電気店街

このほか見逃せない製品として、携帯電話が挙げられる。携帯電話は日本市場で異常に機能の高度化が行われた。1999年に携帯電話の通信会社「NTTドコモ」が、携帯電話だけでインターネットができる「iモード」のサービスを開始。これがきっかけで携帯電話の機能の高度化が加速度的に進んだ。いまや携帯電話にインターネット接続機能がついているのは当たり前となったほか、携帯画面上でゲームなどのアプリケーションを楽しめる機能も標準的なものになりつつある。

一方で通信速度は高速化の道をたどっている。これに加え、デジタルカメラ機能が付加したことにより、携帯電話の出荷は底堅いものとなった。いまや最新の携帯電話の多くは、200万画素以上のカメラ機能を搭載しており、利用者は日常的にカメラ機能を使っている。機能を増やした結果、携帯電話端末は100グラム以上のものが増え、大画面の液晶を搭載するケースがほとんどだ。

2004年12月にソニーが新携帯ゲーム機「PSP」を発売

  またゲーム機器の普及も進んでいる。ソニーの子会社、ソニー・コンピュータエンタテインメントが販売する「プレイステーション2」は世界的なヒットとなった。一方で携帯型ゲーム機の戦いも激化している。日本では既にソニーと任天堂が携帯型ゲーム機を販売し、主に小学生や10歳代の男性に人気がある。電車の中で若い男性がゲームに興じている光景は珍しいものではない。こうした風土を背景に、2004年12月にはソニーが小型データディスクのドライブを搭載した携帯ゲーム機「PSP」を発売。任天堂は画面が2つある携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」を発売し、ソニーと真っ向から勝負を挑む
こうしたデジタル家電は好調だが、従来型の洗濯機や掃除機、冷蔵庫、エアコンなどの白物家電は苦戦している。各社は高機能化により買い換え需要を喚起したい考えだ。
また、日本の電気メーカーによるパソコン販売は苦戦している。全世界的に価格競争が厳しく、単価が下落している中、コスト削減では日本勢は米デルなどの後塵を拝しており、利益率が低迷している。このため多くの社は中国などのアジアで生産活動を強化しており、コストの削減に努めている。

歴史

戦後、長い間、通信機器主体の発展を続ける

  日本の電気機器工業は、もともとは通信サービスが発端で発展を続けた。1869年に東京と横浜の間で官用の電信設備が整備されたが、これをきっかけに各電気メーカーは通信機器に力を入れていった。戦後、長い間、日本の電気機器工業は通信機器主体の発展を続けてきた。日本最大の通信事業グループ「NTTグループ」に対し、松下電器産業やNEC、富士通などは積極的に協力し、NTT向けの機種開発に注力した。
戦後の高度成長期には発電機器などの重電部門が活躍した。戦後まもなく行われた政府による傾斜生産方式の施策には重電も含まれており、この部門が大きく伸長した。 一方、家電分野では、ラジオや白黒テレビ、カラーテレビ、洗濯機、冷蔵庫といった基本的な家電が戦後、爆発的に普及した。これに加え、日本勢が開発したVHS方式のVTRや、CDプレーヤーなどのAV(音響映像)機器も人気を博し、外国への輸出が加速した。

将来を展望するための3つのポイント

ポイント1
新たな商品の開発できるか

東京秋葉原の電気機器ディスカウントショップ
東京秋葉原の電気機器ディスカウントショップ

  日本の電気機器業界はデジタルカメラと薄型テレビ、ハードディスク付きDVDレコーダーという「デジタル新三種の神器」により急速な回復を遂げた。しかし、一部では「そろそろ新しい製品が各家庭に行き渡り、需要が鈍るのではないか」との声が出ている。こうした声を吹き飛ばすような、画期的で購入したくなる製品を出していく必要がある。ソニーの次世代プレイステーションなどに期待が集まっている。

ポイント2
心配される供給過剰の再現

  とはいうものの、メーカー各社は半導体とディスプレー分野で過剰ともいえる設備投資をしており、今後供給過剰の状況が起こるとの懸念をしているアナリストが多い。各社が節度を持った生産を行い、ITバブル崩壊を再現させない工夫が必要だ。

ポイント3
国外への技術流出、防止できるか

  日本のメーカーが中国などアジアに進出した場合、内部の技術が流出する例が数多く出ているという。これを防止することが急務になっている。既に松下電器産業やシャープは高度な製造過程が必要な工場は国内にほぼ集中させ、国外に秘密が漏れないようにする努力を行っている。

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