2024年 4月 20日 (土)

バイオ産業

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将来を展望するための3つのポイント

ポイント1
バイオベンチャーが育つ環境を整備できるか

   バイオベンチャーが、これからのバイオ業界の成長を支える牽引車であることはいうまでもない。ところが、バイオベンチャーには高いリスクが付きまとう。新薬や医療技術が厚生労働省から正式に承認されるまでは、研究開発のために莫大な資金が必要だ。黒字に転換するのは、承認されてからだ。しかも、バイオ技術の開発はリスクが高い。途中で開発中止を余儀なくされるケースも多い。その場合は、投下した莫大な資金がムダになる。
  技術力、製品・サービスの事業性に基づいて、5~10年程度先の業績予想をもとに企業の評価を行う。そして、ベンチャー企業の株式が上場される動きが活発となり、投資家から開発資金が円滑に流れ込む、という循環が望ましい。ところが、日本では米国などに比べて上場されているバイオベンチャー企業の数はそれほど多くはない。それだけにベンチャー企業の「企業価値」の評価が難しく、新興ベンチャー企業の上場の障害となっている。最近では、赤字企業でも東証マザーズ大証ヘラクレスなどへ株式が公開できるようになるなどベンチャー育成のインフラも整備されつつあるが、こうした流れをさらに加速する必要がある。

ポイント2
欧米企業との提携、共同開発が進むか

  日本でバイオブームが起きたのは1980年のことである。それでも半世紀近くの研究開発の歴史を持つ欧米に比べれば歴史が浅く、特に基礎技術では日本は欧米に比べ依然、出遅れ感は否めない。日本企業がバイオ分野で大きく飛躍するには、先行する欧米企業との提携や共同開発が欠かせない。その参考事例が中外製薬だ。
 中外製薬は、国内のバイオ医薬品分野でパイオニア的な存在だ。90年代初めに「エリスロポエチン」「顆粒球コロニー刺激因子」を発売したが、現在は抗体医薬品に経営資源を集中している。中でもヒト化抗インターロイキン6受容体モノクローナル抗体「MRA」では承認を申請中、関節リュウマチでは臨床試験の後期段階にある。承認されれば国産抗体医薬の第1号となる。大型新薬としての期待も高まる。
  その中外製薬が、2002年にスイス・ロシュの子会社となった。業界関係者の間では今後の抗体医薬品開発において大きなプラスと評価されている。ロシュの子会社に、抗体医薬品で世界的に先行する米ジェネンテック社があるからだ。多くの相乗効果が期待されている。

ポイント3
遺伝子組み換え技術に、国民の理解どこまで進むか

  バイオテクノロジー、特に遺伝子組み換え技術については、国民の理解が業界発展の大きなカギとなる。遺伝子組み換えは細胞培養など比べて比較的新しい技術である。一般に馴染みが薄い。国民の中には漠然とした不安を抱く向きも少なくない。
  日本でも三井化学やキリンビール、カゴメなどが遺伝子組み換え分野への参入を決めていたが、遺伝子組み換え食品に対する消費者のアレルギーが表面化するとすぐ、同分野からの撤退を決めた。バイオテクノロジーの実用化、産業化を進めていくためには、バイオテクノロジーについての正確な知識を普及させ、国民一般の理解(パブリック・アクセプタンス)を促進することが不可欠となっている。

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