2024年 4月 16日 (火)

鉄鋼

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歴史

オイルショックを契機に成熟産業に

  日本の鉄鋼業界の歴史は、第2次大戦後から第1次オイルショックまでの成長期、オイルショック後からバブル時代までの成熟期、バブル崩壊後の試練期の3つの時代 に分けられる。 第2次大戦後、日本の鉄鋼業界は急速な高成長を遂げた。1945年度の粗鋼生産50万トンに対して、1950年度には10倍増の529万トンと戦前のレベルを回復、そして1973年度には1億2001万トンにまで拡大と急速な成長を実現している。こうした高成長の背景にはいくつか要因があった。
  需要面では、戦後の復興需要、続いては国内経済の高成長によって鉄鋼需要が拡大した。輸出の貢献も大きく、1969年には当時の西ドイツを抜いて世界最大の輸出国となっている。なかでも大きいのが、積極的な設備投資だ。

新日本製鉄八幡製鉄所(福岡県)の戸畑第4高炉
新日本製鉄八幡製鉄所(福岡県)の戸畑第4高炉

  戦後まもなくの間、高炉一貫メーカーは日本製鉄(後に八幡製鉄と富士製鉄に分割)と、日本鋼管(後にNKKに名称変更)だけだったが、1950年代に入って川崎製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所が相次いで高炉に進出。60~70年代初めにかけて各社とも既存の製鉄所の増設のほか、八幡製鉄が君津、富士製鉄が大分、日本鋼管が、京浜、川崎製鉄が水島、住友金属工業が鹿島、神戸製鋼所が加古川と臨海部で大型製鉄所を新設、高成長の原動力となった。

高炉の休止が相次ぐ

  ところが、こうした高成長は71年のニクソンショック、73年のオイルショックを経て日本経済が高度成長期から安定成長期に入るとともに一変、成熟化の時代に入る。
  国内需要は安定成長となるとともに、高成長の原動力となっていた輸出は米国をはじめとして貿易摩擦が激化して伸び悩み、粗鋼生産は1973年度の1億2001万トンをピークとして頭打ちとなった。ただ、それでも一時期を除いて粗鋼生産は1億~1億1000万トンの高水準を維持できたうえ、70年に八幡製鉄と富士製鉄が合併して新日本製鉄が誕生したことをきっかけとして一種の協調体制が確立。安定した収益を維持し、リーディング産業の地位こそ自動車やエレクトロニクスに奪われたが、鉄鋼業としてそれなりのプレステージを維持することができた。 その後、大きな転機となったのが、1985年の円高ショックだ。急速な円高の進展によって、輸出市場では韓国に追い上げられたうえ、国内でも東京製鉄が高炉メーカーの牙城であったH型鋼でシェアを急拡大するなど電炉メーカーが急追。また、自動車、エレクトロニクスなど鉄鋼の主要ユーザーが海外シフトを強めたこともあって、高炉メーカーは本格的な合理化に迫られることになった。1987年、新日本製鉄が八幡、釜石、広畑、室蘭、堺の各製鉄所で高炉1基の休止を決定したのをはじめとして各社とも大規模な合理化に着手、1984年時点で65基あった高炉は1990年末には45基にまで減少している。

多角化に失敗する

  バブル崩壊からの約10年は、多角化と負の遺産の整理、ゴーンショックを端緒とする価格競争の激化という試練の時代となった。 バブル時代、粗鋼生産は内需の回復によって1990年度には1億1171万トンまで回復したが、バブル崩壊後の不況の中、92年には1億トンの大台割れを記録。その後、一時的には持ち直したものの、金融不況、アジア不況が深刻化した1998年には9097万トンと9000万トン割れ寸前まで減少している。一方、高炉メーカーはバブル時代から1990年代初めまで各社そろって半導体に進出するなど多角化に拍車をかけた。 ところが、1990年代の後半には多角化分野のほとんどが失敗に終わったうえ、1997年の金融不況をきっかけとして会計のグローバル化のなか、巨額の特別損失の計上に迫られた。

ゴーンショックが発生

  財務内容が悪化したうえに、2000年には日産自動車による鋼材調達先の絞り込みと大幅な値下げ要求などいわゆる「ゴーンショック」が発生、それまでの協調体制が崩壊し熾烈な価格競争に突入した。その結果、高炉メーカーの業績は大幅に悪化し、株価が一時、旧額面を割る会社も出るなど信用不安が広がる中、NKKと川崎製鉄が2001年4月、経営統合することで基本的に合意したのに続いて、2002年9月にはJFEホールディングスとして統合を実現。一方、新日本製鉄、住友金属工業、神戸製鋼所も2001年12月には鉄鋼需要の変動や国際競争力強化のため提携することで合意、2002年11月には相互出資を行っている。高炉メーカーは5社体制からJFEホールディングスと新日本製鉄グループの2グループ体制に移行することになった。

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