保険業界
将来を展望するための3つのポイント
ポイント1
消費者の生命保険離れに歯止めかかるか
日本では個人の資産は銀行預金と生命保険で運用されてきた。特に生命保険の予定利率が相対的に魅力的であったことから、日本では過剰保険加入という状況がみられた。しかし、バブル破裂後、消費者の生命保険離れが急速に進んでいる。新規契約が伸び悩んでいることに加え、既存の保険の解約が増えている。その最大の理由は、資産運用の悪化で生保会社が予定利率を確保できなくなり、経営破綻する会社が出てきたことだ。相次ぐ破綻で消費者の生保会社に対する不信が高まっている。政府は2003年に破綻前に予定利率引下げができるよう保険業法を改正した。しかし大量の解約を恐れて予定利率を下げた生保はまだ出ていない。消費者の生保離れに歯止めをどうかけるかが、生保業界の最大の課題となっている。
ポイント2
外資系生保のシェアは今後も高まる
今後は、外資系生命保険会社のシェアが確実に高まっていくと予想される。生命保険の分野では、破綻した日本の生保会社が外資系の傘下に入っている。外資系としては、アリコジャパンが業界6位、アメリカンファミリー生命が8位を占めるなど、日本市場で確実に地歩を築いている。外資系生保の成功は日本の生保会社が「生保レディ」と呼ばれる大量の販売スタッフを使って営業を行うのに対して、通信などを使った効率的な営業手法が奏功しているからである。今後も、外資系生保のシェアは確実に上昇していくと思われる。
ポイント3
高齢化関連の「第3分野」伸ばせるか
今後期待される新しい分野に「第3分野」と呼ばれる市場がある。従来のような生命保険、自動車保険の市場の拡大には限度があることは明白である。その中で、医療保険や介護保険関連商品が注目されている。特に高齢化が急速に進むと予想されることから、公的な医療保険や介護保険を補完する民間の商品の登場が期待されている。2004年10月に最大手の東京海上日動火災が医療保険分野への進出しており、これで三井住友海上、損保ジャパンと大手3社がいずれも「第三分野」へ進出したことになる。