2024年 4月 19日 (金)

海運

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現状

中国関連で業界は空前の活況

東京湾品川ふ頭
東京湾品川ふ頭

  日本の海運業界は空前の活況に沸いている。2004年3月期の連結決算によると、商船三井川崎汽船の当期利益は過去最高を更新し、最大手の日本郵船も倍以上の大幅増益となった。最大の要因は中国関連ビジネスが活発な荷動きを見せたためだ。中国から米国向けの住宅関連製品や雑貨などの輸出が増え、コンテナ船の運賃が上昇した。また、中国向けに鉄鉱石など原料を運ぶバラ積み船の市況も好調だった。さらに、米国の景気拡大が運賃上昇を後押しした。

  海運には大きく分けて、タンカーで運ぶ原油などエネルギー、石炭や鉄鉱石などの原料部門、コンテナ船という3部門があるが、現在はそろって好調だ。日本の海運業界は戦後何度も好不況を繰り返しているが、今回ほど際立った好況は初めてだ。
衣料品や家電の世界の生産基地・中国から巨大な消費地である米国・欧州へ、というモノの流れの増加は当分続く、と海運大手は判断し、コンテナ船、自動車専用船、LNG(液化天然ガス)船など新造船の投入に走っている。

歴史

急速な円高で最大のピンチ迎える

  海運業界は高度成長期に輸出入が活発化するのと比例して、大きく成長した。しかし、1985年のプラザ合意で、急速に円高・ドル安が進み、最大のピンチを迎えた。ドル建てが大半の運賃収入は半分になり、逆に日本人船員の給料はドルベースで倍になり、コストアップに苦しんだ。日本人船員を大幅に減らし、代わりにフィリピンなど外国人船員を採用して、経費削減に取り組んだ。船舶の売却もした。にもかかわらず、第一次石油ショック後にタンカー船腹が過剰となり、その後も北米定期航路市況が低迷するなど深刻な海運不況が続いていた。1989年には大手のジャパンラインと山下新日本汽船が合併してナビックスラインとなり、1999年にはそのナビックスラインと大阪商船三井が合併、商船三井となるなど業界再編も進んだ。

将来を展望するための3つのポイント

ポイント1
中国の好景気はいつまで続くのか

芝浦ふ頭で貨物船に運ばれるのを待つコンテナ 
芝浦ふ頭で貨物船に運ばれるのを待つコンテナ 

  海運の好況は2,3年で終わるケースが多い。運賃が急激に上がると、安値で受注する会社が現れ、市況がドンと下がるからだ。戦後こうしたパターンを繰り返してきた。ただ、世界のモノの流れが中国中心に動いてきており、そうした構造は当分変わらない、と業界では分析している。さらに、2008年の北京オリンピックや2010年の万博が控え、荷動きは依然活発だ、と見られる。ただ、人民元切り上げなどもうわさされていて、波乱要因がないわけではない。

ポイント2
新技術の開発は進むのか

  物流の動きを革命的に変える可能性がある、といわれているのがICタグ(荷札)。コンテナにICタグを付けると、岸壁での積み下ろしや倉庫での出し入れなどの時、情報をすばやく読み取って、何をどれだけ出荷すべきなのか分かり、荷動きのスピードが早まり、さらに販売のデータ収集にも役立つ、というわけだ。この新技術開発がどれだけ進むかで、海運の仕事の中身は大きく変わってくる。

ポイント3
総合的物流業に脱皮できるか

  海運各社は、海運のほか倉庫、陸運、空運を組み合わせた総合的な物流事業への転換を急ぎつつある。しかし、他業種からの参入も予想されるほか、巨額の先行投資が必要で、この負担をどう軽減していくのか、が問われる。

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