NTT「光回線構想」に仕掛けられた “ソフトバンク潰し”
2005.11.09 16:30
ソフトバンクの株含み益まで目減りか?
それだけではない。新中計は、ソフトバンクの孫正義(そん・まさよし)社長が標榜してきた「時価総額経営」に転機をもたらすかも知れない。ソフトバンクの株価下落が “虎の子”のヤフー株に連動すれば、2兆円を超える保有上場株式の含み益まで目減りする。その打撃は、孫社長の悲願である携帯電話参入に直結するのだ。
キャッシュ不足のソフトバンクは、300 0億円といわれる無線基地局の投資に当たり、「ベンダーファイナンス」と呼ばれる資金調達手法に着目した。通信機器メーカーから融資を募って無線基地局を整備し、その代金は携帯電話事業の将来の利益で支払うのである。いわば“利益先喰い”の奇手だが、それでも、通信機器メーカーが同社に売り込みを掛けるのは、含み益2兆円の信用があるからにほかならない。br /> その前提が崩れたら、「孫さんは携帯電話に参入できても、サービス展開が遅れ、十分な加入者を獲得できない怖れがある」と、市場関係者はみている。NTT東西の光ファイバー網投資が、めぐりめぐって携帯電話のNTTドコモを助ける形になっている。