2024年 4月 20日 (土)

マグロ値上がり 原因は原油高

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   世界的な原油高が、日本の消費の現場にも影響をもたらしている。マグロ、ティシュペーパー、ガソリン…。スーパーから100円ショップまで、販売側のさまざまな業態に広がり始めている。

都内のガソリンスタンド。原油高の影響が広がっている
都内のガソリンスタンド。原油高の影響が広がっている

   原油価格の上昇はとどまるところを知らない。ニューヨークの原油価格は7月に1バレル75ドルを突破。かつて市場関係者の間で、「50ドルを超えるとオイルショックの再来」とも言われた中で、現在の水準は突出して高い。
   東京地区のガソリン価格(レギュラー)は、1年前に比べおよそ1割上昇した。ガソリン価格の上昇は、今年に入って5カ月連続で前年を上回った消費者物価指数の引き上げに「貢献」している。
   その原油高の影響が、スーパーや100円ショップなど小売りの現場にも現れ始めている。

コスト高は取引先と折半しながら企業努力で吸収

   スーパー大手のイトーヨーカ堂。同社では「全般に価格値上げの圧力が強くなっている」と語る。原油高は商品の仕入れ原価だけでなく、業務用ラップなど梱包財や物流費、レジ袋など、さまざまなコスト高に跳ね返ってくる。
   原油高の影響は幅広い。例えばマグロの刺し身。メバチマグロの相場は1年前に比べ4割増となっている。最大の供給国・台湾の減船とともに、漁船用燃料高を受け出漁が減少したため。しかし「消費者の価格志向は根強い」(同社)。簡単には店頭価格へ反映できないのがつらいところだ。同社では「取引先と折半しながら企業努力でコスト高を吸収していきたい」とする。
   スーパー以上に原油高の影響を受けるのが、プラスチック製雑貨の多い100円ショップだ。同業界からは「仕入れ値が1~2割上昇している」との声があがる。
   デフレ下に100円均一の割安感で成長を続けてきた同業界が、大きな転換点を迎えている。
   業界2位のキャンドゥ。同社では4月から、300円、500円均一といった他の価格帯の実験を始めた。価格帯を上げることで新規商品を導入、消費者の需要を喚起することが狙いだが、背景の一つには原油高がある。

海外調達をベトナムやインド、インドネシアなどに拡大

   100円なのにこんな商品があるという驚きが、これまで業界の成長の原動力だった。しかし仕入れ原価の上昇でそれが困難な状況にある。一部のプラスチック製品では、売価100円を維持するために、逆に容量を減らすことを余儀なくされ始めた。商品力を高め、消費者を飽きさせないためには、100円という価格にこだわってはいられなくなっている。
   業界ではこれまで中国に偏重していた仕入れ先の見直しを進める動きもある。業界5位で100円ショップ「ミーツ」を展開するワッツは、現在ほぼ中国のみで賄う海外調達を、今後ベトナムやインド、インドネシアなどに拡大する検討を始めた。原油高だけでなく、元切り上げなどに伴う円安や、中国の人件費増により、調達コストが上昇しているからだ。
   ホームファッション専門店のニトリでは06年3~5月期、売上高から売り上げ原価を引いた粗利益の売上高比率が低下した。円安に加え、原油高に伴う海外の調達先からの強い値上げ要請が影響した。同社では販売数量の増加や、販売員の配置など効率化によって増益を維持しているが、原油高は小売り各社の業績にも影響を及ぼし始めている。
   ここまでは企業の内部努力によって吸収し、多くの小売業では店頭価格の引き上げには至っていない。ただ今後この水準の原油高が続けば、企業内部での吸収にも限界がある。家計への影響がじわり広がりつつある。

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