2024年 4月 30日 (火)

メガバンク再び 外国銀行を買収?

   2006年3月期決算で過去最高益をあげた邦銀が海外展開を積極的に始めた。バブル崩壊後の経営再建で、海外業務を撤退した邦銀は公的資金の返済にめどをつけたこともあり、国内企業の中国などどへの工場進出に伴い、再び攻勢に転じようとしている。メガバンクなどは海外での金融持ち株会社の設立準備を進め、将来的には外国銀行の買収も視野に入れている。すでに、外銀との資本提携に乗り出した大手銀も少なくない。

三菱UFJとみずほが米国で金融持ち株会社

三菱東京UFJとアコムは、インドネシアの銀行を買収へ
三菱東京UFJとアコムは、インドネシアの銀行を買収へ

   三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほコーポレート銀行農林中央金庫は、米国で金融持ち株会社の認可取得に動いている。手始めに米国で証券業務などを拡大し、将来的には現地の投資銀行との提携や買収の意欲を隠さない。
   三菱UFJとみずほは認可が得られれば、企業の新株や社債発行の主幹事業務などを開始する方針。農林中金は国内のJA(農協)を中心に調達した資金のうち、約30兆円を海外の有価証券で運用しており、企業への出資比率の制限などが緩和される金融持ち株会社で、投資先を広げたい考えだ。3金融機関は現在、水面下で金融当局と認可に向けた協議を進め、順次認可が下りる見通し。
   一方、外銀との資本提携の動きも活発化している。
   みずほコーポレート銀は、韓国大手銀行の「新韓銀行」、政府系金融機関の「韓国産業銀行」の2行と提携する。金融派生商品の共同開発や協調融資、顧客の相互紹介なども行い、資本・業務両面で関係を強化する。日本のメガバンクが韓国の大手金融グループへ出資するのは初めて。みずほコーポレート銀は、アジアでの投資銀行業務の拡大につなげる構えだ。また、みずほFG傘下のみずほ証券も新韓銀グループ傘下の証券会社と提携する予定だ。

三菱東京UFJとアコムはインドネシア進出

   三菱東京UFJ銀行と消費者金融大手のアコムは、インドネシアの中堅銀行の「バンク・ヌサンタラ・パラヒャンガン」(BNP)を共同で買収するため、交渉開始を発表した。現地で消費者ローンなど個人向け業務の展開を図る。

   銀行が消費者金融会社とともに海外の銀行を買収するのは極めて異例だ。ただ、三菱東京UFJは収益拡大の柱として個人向け業務の強化を掲げており、アジアをはじめ海外での業務拡大を目指している。また、アコムもタイでローン事業を展開している。三菱東京UFJとアコムは資本提携していることもあり、今回の動きにつながった。BNPは資本金約20億円で、インドネシアに29拠点を展開。三菱東京UFJとアコムは発行済み株式の過半数の取得を目指し、買収額は80億円程度を見込んでいる。
   ただ、日本国内で消費者金融のあり方が問われている最中の発表に、金融庁の内部からは不快感を示す声も出ている。

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