2024年 4月 20日 (土)

外資系証券の証券化住宅ローン 結局リスクは地銀に"付け回し"?

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   モルガン・スタンレー証券メリルリンチ日本証券が、地方銀行と提携して「住宅ローン」市場に参入する。ターゲットは地銀の審査基準から外れた信用力の低い顧客で、長期的に安定した収入が見込みづらい自営業者や派遣社員などを想定している。そのため、適用金利は変動金利で年2~5%程度と通常の住宅ローンよりも割高に設定する。マイホームを手にしたいのに、ローンの申し込みを断られ続けた顧客にとってはありがたい話だが、従来はその地銀ですら「リスクが高い」と手を出さなかった顧客層である。

   メリルリンチ日本証券は2006年12月14日、福岡市に本店を置く地方銀行の西日本シティ銀行と提携して、日本で住宅ローンビジネスを展開する、と発表した。07年3月の発売を予定している。同グループが出資するローン子会社を設立し、提携した銀行が実行した住宅ローンの債権を買い取る。「顧客へのサービス部分は提携銀行にお願いすることになる」(メリルリンチ日本証券広報部)とし、ローン子会社が譲り受けた住宅ローン債権は証券化して機関投資家などに販売する計画で、そのために「20~30行程度の地銀と提携したい」と話している。

モルガン・スタンレー証券も住宅ローン進出

   住宅ローン債権を証券化して機関投資家に販売する、その考え方は先のモルガン・スタンレー証券もまた同じで、これより先の06年11月20日に、八十二銀行(長野市)や親和銀行(長崎県佐世保市)などと提携して債権を証券化する手法を活用した住宅ローンを共同開発。07年1月29日からの販売を発表している。やはり、今後数年間で提携先を20行程度見込んでいる。

   いずれにしても、メリルリンチ日本証券とモルガン・スタンレー証券による地銀の囲い込み合戦が今後激しくなることは間違いない。外資系金融機関のリテール業務だが、実際のところはシティバンクのように自前で店舗展開するわけではない。地銀の”ひさし”を借りての展開であるから、この囲い込みしだいで成否が決まるともいえる。

   一方、住宅ローン市場が飽和状態になりつつあるなかで、「リスクの高い顧客層を狙う作戦がどこまで通用するのか、見ものではある」(大手地銀の幹部)と、洞ヶ峠をきめ込む地銀もある。また、別の地銀幹部は、「競争が激しいこと、また借り換え需要も一巡して住宅ローン市場も先細り観がある。なにか新たな手を打たなければ、という焦りがある」と説明する。

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