ススキノ超人気ジンギスカン店 経営者逮捕 本当の理由

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   北海道にある北朝鮮関連施設が、相次いで警察や検察の捜索を受けている。脱税などの所得税法違反の容疑だ。日朝間の緊張が高まるなか、北朝鮮関連の捜索が行われることは、もはや珍しくもないが、今回の捜索で異例なのは、捜索対象がグルメ雑誌にも紹介された有名ジンギスカン店で、経営者も逮捕されてしまったことだ。一体、どんな店だったのか。

   札幌地検などは2007年2月5日午前、札幌の繁華街、ススキノにあるジンギスカン店「だるま」本店など約10ヶ所に対して所得税法違反の疑いで家宅捜索を行い、同店経営者の金和秀(66)、徐澄子(61)、李正愛(34)の各容疑者を同容疑で逮捕した。

脱税したカネが北朝鮮に送金された?

ガイドブックにも紹介された有名店が、脱税容疑で捜索を受けた
ガイドブックにも紹介された有名店が、脱税容疑で捜索を受けた

   03年から05年にかけて、売り上げを過少申告し、所得税約1億7,000万円を脱税した疑い。さらに、金、徐両容疑者が、かつて在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)北海道本部の幹部を務めていたことから、地検は脱税分が北朝鮮に送金された可能性も視野に入れて捜査を進めている、とされている。

   家宅捜索・逮捕を報じる各紙とも、「だるま」のことを一様に「雑誌に頻繁に紹介され、ジンギスカンブームの草分け」などと報じている。スポーツ報知は「U字形のカウンター約20席は、夕方の開店直後から客で埋まり、夜遅くまで行列が途絶えない」と、普段の店の様子を報じているほか、夕刊フジは、フードライターの話として「未明までやっているので、『これから一発』と精を付けたい好事家に人気だった」と伝えている。とは言っても、北海道関係者か「北海道通」でもないと、耳にしたことがない店名であるのも確かだ。

   有名旅行ガイドブック「るるぶ札幌小樽 ‘07」の「札幌グルメ総覧」というコーナーの「ジンギスカン~マトン編」というページを開くと、この店が一番目立つ位置に出てくる。「1954年創業の人気店で締めスープをご堪能あれ」という見出しで、「食べ終わると、肉汁と野菜のエキスがたっぷりと染み込んだタレに、お茶を入れてスープにしてくれるのがこの店の楽しみ」と紹介している。ママさんの「並んで待っても食べて良かったと思ってもらえる店です。ぜひ来てくださいね」というコメントも添えられている(写真から、コメントしているのは、今回逮捕された容疑者と見られる)。

   過去の報道を見てみても、同店の人気ぶりがうかがえる。

   03年1月には、地元紙の北海道新聞が「探偵団がたどるジンギスカン物語」という連載を掲載、同店のことを「『札幌のジンギスカンならまずあの店』とだれもが口をそろえる老舗」と表現、人気の秘密は「創業から変わらないたれ」なのだと紹介されている。

客足は「多分、普段と変わらない」

   さらに、デイリースポーツが03年に掲載した「懲りない編集長・安部譲二の なんだかんだ」というコラムでは、安部さんがデスクと会話する形で、

「札幌で食べるなら生ジンギスカンの店へ行きなさい」
「たいていはニュージーランド産の冷凍なの。でも『だるま』っていう店では生を食べさせるんだ」
「おう、一皿200グラムのを水戸泉は17皿食べたそうだ」

   と、力士のエピソードも交えながら、「だるま」を絶賛している。

   だるまが「名店」だとなると、捜索後、ちゃんと営業を続けてくれるかが気になるところだ。電話で聞いてみた。そうすると、返ってきたのは

「現在も、元々の(「るるぶ」に記載の)営業時間のとおり営業しておりますし、今後も変わる予定はありません」

   との答えで、背後からは、なにやら忙しそうな厨房の音も聞こえていた。当分は、「美味しいマトン」を楽しめそうだ。客足については、

「多分、普段と変わらないと思います。ちょっとこっちでは、詳しいことは分かりませんけど…」

   と、とまどった様子で話していた。

   ちなみに同店、営業時間は17時~午前3時(金・土曜は17時~午前5時、日曜日は16時30分~午前1時)、肉がなくなり次第終了だそうだ。

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