2024年 4月 24日 (水)

日興にTOB 米シティの狙いは「おいしい」富裕層

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   米シティグループは2007年3月6日、資本・業務提携関係にある日興コーディアルグループ(CG)に公開買い付け(TOB)を行い子会社化すると発表したが、シティが日興の支援にどの程度本気なのか、業界では真意を測りかねている。ただ、一方で、日興のノウハウを取り込み、富裕層を本格的に狙う第一歩、という見方も出ている。

上場廃止はシティに有利に働くのか

シティの狙いは「おいしい」富裕層?
シティの狙いは「おいしい」富裕層?

   3月7日付のフジサンケイビジネスアイは「日興、シティ傘下 問われる買収価格の妥当性」とし、「シティの買収価格が妥当性を欠けば、TOBが不成立に終わる可能性も生じかねない」と報じた。また、同日付の朝日新聞は「焦点; シティが日興へのTOB成立に自信、PEファンドが対抗の可能性」と題して、シティバンク在日支店のダグラス・ピーターソンCEOがTOBの成立に強い自信を示す一方で、日興に関心を示す他の企業が存在するだけでなく、プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)が対抗TOBを仕掛けてくる可能性があることを報じている。
   6日の記者会見で、1株1,350円を上回る買収提案があった場合の対応について、ピーターソンCEOは「投資家の反応を、憶測で話すのは適当でない」と明言を避けた。

   ある証券関係者は、「(日興株の)6日終値は1,340円だったことを考えると、(シティは買収価格を)かなり抑えている。しかし、一方で日興株の上場廃止が決まれば、急落は間違いないから、個人投資家などはシティのTOBに応募したほうが得だと、『売ってしまえ』と考えても不思議はない」と説明する。シティがこうした投資家心理を読んで買収コストを抑えようとするのはわかるが、そこに他の大株主に付け入るスキをみせては、簡単にはTOBは成立しない。みずほフィナンシャルグループSBIホールディングス、外資系投資会社のハリス・アソシエイツなどに注目が集まるのはそのためだ。

「シティは今回案外、本気ではないのか」

   シティは、日興と包括的な業務提携でも合意した。具体的には、日興が上場廃止された場合にシティが資金供与することや、法人向け銀行業務と証券業務の相互販売の強化、個人向け業務での提携で双方の個人客に幅広い金融商品を提供することなどを骨子としている。6日の記者会見でシティのピーターソンCEOは、日興との8年に及ぶ提携関係を強調。

「これまでに投資銀行業務や資本市場のビジネスで連携を深めてきた。補完性が高く強力なパートナーシップが築ける」

と話した。

   メガバンクのある関係者は、「(日本市場での展開について)シティは案外、本気なのではないか」という。もともとシティは日本でリテールを展開している唯一の外資系金融機関。日本のリテール、なかでも富裕層顧客をターゲットとするプライベートバンキング(PB)業務は、「貯蓄から投資へ」の流れや団塊世代の大量退職などを受けて、まさにこれから成長が見込める、”おいしい”市場。ところが、シティは2004年9月、PB業務での口座不正開設や業務外取引などの取引違反を理由に金融庁が、事実上PB業務の日本撤退を命じる処分を行った。

   日興はかつての4大証券の一角で、いまでも証券業界3位の規模をもつ。知名度もあり、取引基盤は悪くない。「今回の不祥事でも、不思議と顧客離れが起こっていない」(メガバンクの関係者)ようで、日興を傘下に収めることで、締め出されたPB業務での巻き返しも十分可能と踏んだのではないか。 シティ自身も今後、持ち株会社制への移行と東京証券取引所への上場を目指している。

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