2024年 4月 18日 (木)

NTT社長人事 事務と技術「たすき掛け」が消えた理由

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   NTTの持ち株会社の和田紀夫社長(66)が代表権のない会長に退き、三浦惺(さとし)副社長(63)が社長に昇格する人事が明らかになった。07年6月末の株主総会後の取締役会で正式決定する見込みだ。85年に民営化されたNTTは、事務系出身者と技術系出身者が交互に社長に就任する「たすき掛け人事」が慣例だったが、和田、三浦両氏とも労務が長い事務系で、慣例は破られた。「66歳から63歳の労務担当に社長が変わっただけ。変化なし」との声が社内外にある。

現社長、新社長も人事・労務畑が長い

NTT東日本社長への待望論もあった
NTT東日本社長への待望論もあった

   和田氏は02年6月に社長に就任してから5年になる。グループ内で重複していたプロバイダー事業の再編を進める一方、「2010年度までに光ファイバーを3,000万世帯に敷設する」という中期経営戦略を掲げ、固定電話にかわる新しい通信網を構築する次世代ネットワーク「NGN」の実証実験を2006年12月から始めるなど事業構造の改革に着手した。

   関係者によると、和田氏は「中期経営戦略の達成を見すえると、今変わらないといけない。もう事務系、技術系という時代ではない」と話しており、節目感のある今が交代の好機と判断したようだ。和田氏は今後、取締役会の議長と国際戦略、財界活動を担当する。「二頭体制ではない。三浦君をサポートする」という。

   一方、三浦氏も和田氏と同様に人事・労務畑が長い。固定電話のNTT東日本の社長を02年から3年間務め、約10万人を出向・転籍させたリストラでは労働組合と交渉し、人望でまとめあげた。05年6月から持ち株会社の副社長に就任し、中期経営戦略推進室長として「光ファイバーを3,000万世帯に」を推進してきた当事者であり、次期社長として次世代通信網の整備を担う。

   NTTの社長人事は、取締役の改選期だった06年に行われるとの観測があった。しかし、竹中平蔵総務相(当時)の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会(通称、竹中懇)」で、NTTの組織問題が論議され、竹中シフトで社内人事を封印していた。

   竹中懇が06年6月にまとめた報告書では、「公正競争の促進やサービスの一層の多様化・低廉化、ブロードバンド市場全体の健全な競争を阻害する可能性が高い」と、各家庭に引き込んだアクセス網の機能をNTT東西から分離するよう提言。「NTTの持株会社の廃止やグループ各社の資本分離」も打ち出していた。

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