カルト教団?元社保庁職員? トイレ1万円札「主」の正体
「公務員へ怒りを持った市民」説
「公務員OB説」もある。推理作家の佐野洋さんは「公務員だったことに誇りを持つ人。(略)批判にさらされている公務員に『頑張れ』というメッセージのつもりで」と、1つの推理を紹介した(朝日新聞)。また、慶応大学の中村伊知哉教授は「たぶん社保庁のOBじゃないですか」と年金問題で揺れる社会保険庁を持ち出した。動機は「すまないなぁという気持ちで退職金をこのような形でバラまいた」と推し量った(テレビ朝日系「スーパーモーニング」)。
「公務員へ怒りを持った市民説」という「逆」の見方を唱えるのは、元吉本興業常務のフリープロデューサー木村政雄さんだ。「短期間で全国を回っているのだから生活に余裕がある人だろう」と基本的な見方を示した上で「わざわざ県庁や市役所に置いたのは、不祥事が続く公務員に対する憤りがあると思う」とした(毎日新聞朝刊)。宗教評論家の丸山照雄さんは、デイリースポーツで「公務員に対して不信感があり、それを正してくれという気持ちがあるのかも」と指摘した。
「愉快犯説」も広がっている。社会評論家の赤塚行雄さんは「目立たず、まじめに働いていた人が『世間を騒がせたい』という目的でやっただけではないか」とし、置き場所に役所のトイレが多いのは「デパートのように混雑せず、置きやすいからだろう」と推理した(スポーツ報知)。
どれも説得力があるような、ないような、決め手に欠ける感じだ。「なぞの1万円」が置かれた当事者はどう考えているのだろうか。東国原英夫知事の登場で注目を集め、県庁観光ツアーまで登場した宮崎県庁のトイレに置かれていたのが6月27日に見つかった。J-CASTニュースが担当者に取材すると、「1万円のようなものを包んでいる」ものが9組あり、いずれも開かず、そのまま警察に拾得物として届けたという。置いた人の「人物像」について質問すると「予測がつかないですね。さっぱり」。