2024年 4月 25日 (木)

テレビ局「選挙特番」ウォッチ テレビ朝日・選挙ステーション
堅実路線だけど意外なハプニング

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   「法律相談」が得意な吉本芸人が司会をすることもなければ、元たけし軍団の県知事が登場することもない。テレビ朝日の特番「選挙ステーション」。第1部は「報道ステーション」の古舘伊知郎がキャスターをつとめ、第2部は「朝まで生テレビ」の田原総一朗が仕切るというおなじみの体制で進められた。内容も、開票状況や各政治家のインタビューを淡々と放送し、ときどき新聞社の政治記者がコメントするというオーソドックスなもの。ここはNHKか、と錯覚するほどの「堅実路線」を打ち出した。しかしそこは生中継。不意に意外な展開が起きたりするのである。

ベテラン記者の「予想」大外れ 安倍首相の意外な「続投表明」

   投票締め切り直後の20時。出口調査にもとづく予想議席が発表された。それによれば、民主党58議席に対して、自民党は38議席。40議席を割り込む大敗であるとの見込みだ。この数字にはベテラン政治記者もびっくり。これまで19人の総理大臣を取材してきたという日経新聞客員コラムニストの田勢康弘は「これはもうやめる以外ないぐらいの数字だろうと思います」と安倍晋三首相の退陣は当然、との見方を示した。

   ところが21時30分すぎになって、古舘から「一部情報では安倍さんが続投を周囲にもらしたということなんですが…」と、「安倍続投」の情報がもたらされる。だが、首相13人の取材経験をもつ朝日新聞編集委員・星浩は「進退に関する話をそのように漏らすということはまずないと思いますねぇ」と信じられないといった表情。また、田勢も「開票が全部終わってからでしょう。ちょっと信じられないですね」と疑問を口にした。

   それを受けて、古舘も「じゃあ、ガセかもしれませんね」と引き下がったのだが、しばらくして、テレビ朝日の画面右上テロップには「安倍総理続投の意向」の文字がはっきりと表示された。さらに約1時間後の22時20分すぎには、テレビ朝日のインタビューに安倍首相自身が答え、「続投の意向」を明言することに。

   百戦錬磨のベテラン政治記者の予想がまったく外れてしまったわけだ。裏を返せば、現首相はそれほどまでに常識が通じない人間ともいえる。恐るべし、安倍晋三の「鈍感力」。

「なんでうちは当確、打てないんでしょうか?」

   東京選挙区の丸川珠代は元テレビ朝日のアナウンサーだ。そうした縁もあって、選挙ステーションは丸川候補の特集VTRを流したり、選挙事務所にレポーターを派遣したりと「丸川報道」には力を入れていた。

   ところが「当選確実」の速報で、ライバルのNHKに遅れを取ってしまった。その結果、ちょっとしたハプニングが起きる。テレビ朝日ではまだ「当選確実」が打たれていないのに、丸川の選挙事務所にいた市川寛子アナが「当選確実の知らせを受けて、丸川珠代さんがいま事務所に向かっているところです」としゃべってしまったのだ。もちろんこの場合の「当選確実」とは、「NHKが打った当選確実」という意味だ。

   しかしNHKが当確を打ったという情報は、スタジオに届いていなかったのだろう。市川アナの言葉を聞いて、古舘伊知郎は仰天。「当選確実が出たんですか? テレビ朝日はまだ当確を打ってませんよね?」と慌てて聞き返す。だが、現場の市川アナはなんのことかよく分からず、ハッとした表情をして固まるのみだった。

   スタジオの古館は「丸川さん当選確実」と言いたいのに言えない状況に、もどかしさをあらわにした。そして、ちょっとキレ気味に言ったのだ。

「なんでうちは当確、打てないんでしょうか?」

「中間テストで大赤点なんだから、解散総選挙ですよ」

   0時30分から始まった第2部は、田原総一朗司会の徹底討論。「朝まで生テレビ」の選挙版だ。各党の衆院議員や参院議員(非改選)が出演して今後の政局について論じた。

   最大の焦点は、やはり安倍首相の責任論だ。首相自身は開票中の段階で早々と続投の意向を表明したが、大勝した民主党は超強気。枝野幸男衆院議員が「中間テストで大赤点なんだから、解散総選挙ですよ」と鼻息荒く言えば、蓮舫参院議員も「負けた責任を取って続けます、というのはどういうことか分からない」。さらに、前民主党代表の前原誠司衆院議員も「安倍さんは、『小沢さんを取るか、自分を取るかはっきりしてくれ』と言って負けたんです。負けたんだったら、責任の取り方は自ずと明らかだと思う」と述べた。

   一方、自民党の議員たちは最初「野党にとやかく言われる筋合いのものではない」と反論していたが、しだいに劣勢に。かつて小沢一郎民主党代表と行動をともにしたこともある船田元衆院議員は「総理としての立ち位置を考えないといけない」と微妙な言い方をした。また自民党の盟友・公明党の高木陽介衆院議員も「私の口からは言い辛いですが、選挙戦で安倍さん自身が『小沢さんか、私か』って問いかけちゃった。政治家は言葉が命なので、公の場で言った言葉に対しては責任を取っていかなければいけない」と退陣論をにおわせた。

   こうなってくると、衆議院の解散、総選挙も視野に入ってくる。その時期はいつか?

   第1部から連続出演していた朝日新聞編集員の星浩は「遅くても来年の夏でしょうねぇ」。それに対して、司会の田原総一朗は「僕は年内だと思う。だって、来年になったら空気が変わっちゃうもん」。

   はたして田原の予想どおり、年内解散といくのだろうか?

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