2024年 4月 25日 (木)

ヒラリーの「胸の谷間」 米大統領選からんで熱い論争 

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   胸元まで見える服を着て米国上院本会議で演説した、ヒラリー・クリントン上院議員(59)を米有名新聞が批判した。その批判に対し今度は読者から数千の抗議文が届き、新聞社が「炎上」状態になるなどちょっとした騒ぎになっている。2008年の米大統領選の指名争いを優位に進めるヒラリー上院議員陣営も記事に反発している。日本ならどうなるのだろうか。

   ヒラリー上院議員は、米民主党のビル・クリントン元米大統領の妻で女性初の米国大統領を目指している。一方、2007年7月20日付けの署名で服装への批判記事を掲載したのは、ワシントン・ポスト紙だ。ニューヨーク・タイムズ紙と並ぶ「一流紙」とされる。「ディープスロート」という言葉を「信頼できるネタ元」の意味で有名にした、ニクソン米大統領(当時)の盗聴疑惑を追及した「ウォーターゲート事件」報道で知られる。

胸の谷間「まったく不要な飾りで、だれも見たくない」

ヒラリー上院議員の服装を批判するワシントン・ポストのウェブ版
ヒラリー上院議員の服装を批判するワシントン・ポストのウェブ版

   ヒラリー上院議員の記事を書いたのは、米国で権威があるピュリッツァー賞を取ったこともあるロビン・ギバン記者で、電子版でみるとジャンルは「ファッション」になっている。ヒラリー上院議員の問題の服装のカラー写真も「ウェブから(撮った)」の注意書きで添えられている。

   ピンクのブレザーをはおり、ネックレスをつけている。そして、上着の下には、黒で「V字」の胸元まであいた服が見える。記事によると、ヒラリー上院議員は教育問題の費用を巡る演説をした。「胸の開き具合」について、「ちょっと見ただけでも印象に残る」と指摘している。「ふさわしくない『量』の胸の谷間(cleavage)はなかったが、胸の谷間は確かにあった」「疑う余地はない(Undeniable)」と、要するに「確かにちらりと胸の谷間が見えた」と言いたいようだ。

   これが、「女性であることのちょっとした自認が顔をのぞかせたのは、保守的な議会の雰囲気(美学的な意味で)を考えると驚くべきことだった」と批判の対象になった。要するに「女らしさを少し強調した」と受け止め、問題視していると読める。さらに、ヒラリー上院議員が公の場で「セクシー(sexy)」な服を着たのは、直近ではビル・クリントン元米大統領の大統領1期目の際の、肩を出したガウンで、以降は、上院選のときなど女性らしさを強調しない服装だった、と続けた。

   そして「胸の谷間」は、全く不要な飾りだ、と指摘し、「だれも見たくない」「ズボンのチャックが開いている男を見てしまったようなものだ」と酷評している。

「女性の体に焦点あてるのは侮辱的だ」

   これに対し、ポスト紙には数千の「怒った」手紙や電話が寄せられた。7月29日にポスト紙の「オンブズマン」デボラ・ハウウェルさんが記事の中で紹介した。「怒り」の例として「記事は女性と、演説される重要な問題の両方の品位を下げるものだ」という指摘を挙げている。もっとも、デボラさんは、基本的に記事を擁護する立場で「私たちは、胸の谷間のコラムを読みたいと思うか、思う。ウェブサイトでは1日中で最も多く見られた記事だった」と指摘した。

   また、ヒラリー陣営では、7月27日、陣営幹部のアン・ルイスさんが資金集めの電子メールで反論を展開し、支持者らに送った。J-CASTニュースもメールを取り寄せ読んでみると、「ワシントン・ポストが746ワードもヒラリーの胸の谷間について記事を書いたなんて信じられますか?」と冒頭で指摘していた。「体の部分について語るなんてひどく不適切(inappropriate)」「演説の中身でなく、女性の体に焦点をあてるのは侮辱的だ(insulting)」と反発している。

   「胸の谷間」についてなにか規定や基準はあるのか、日本の衆参両院の事務局に聞いた。それぞれ規則があり、「品位を重んじなければならない」「帽子や外套などを着用してはならない」などとある。また、議院運営委員会がそれぞれ1950年から51年にかけ、「上衣着用」を申し合わせている。クールビズ導入に伴い、衆院では05年に「本会議場を除く院内では上着とネクタイなしでも可、本会議場では上着とネクタイは着用」と申し合わせ、女性は「それに準ずる」服装を求められている。参院には、ネクタイに関する取り決めはないという。過去には、1991年に社会党(当時)の女性衆院議員がベレー帽をかぶって議場に入り、注意を受け断念したこともあった。地方議会では、Gパンや覆面が話題になったこともある。

   両院事務局に「女性議員が胸が開いた服を着て本会議で演説するとどうなるか」と質問すると、ともに「規則の品位を重んじなければ、という項目に照らして問題視する議員が、議院運営委員会での話し合いを要求する可能性が高いのではないか」と予想した。

   服装を巡る問題が起きた場合、話し合うのは議院運営委員会だ。衆院議院運営委員会の逢沢一郎委員長の国会事務所は「公務多忙で回答できない」と答えた。また、防衛相の小池百合子さんの事務所は「公務で多忙なため、回答する時間が割けなかった」。内閣府特命担当大臣(少子化問題など担当)の高市早苗さんの事務所は「公務で忙しく今回は回答できない」。民主党の蓮舫参院議員の事務所からは、回答は寄せられなかった。

   日本ではまだ「胸の谷間」はタブーな話題のようだ。

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