2024年 4月 20日 (土)

神戸いじめ自殺事件 言うのもおぞましい報道次々

   神戸市須磨区の私立滝川高校で3年生の男子生徒(当時18歳)が飛び降り自殺した事件は、いじめを越えた凄まじい虐待・拷問の数々が報道されている。言うのもおぞましいほどの内容に、2ちゃんねるでは数々のスレッドが立って大騒ぎだ。中には、加害者少年を暴露する書き込みもあり、高校側が人権救済申し立てにまで言及する事態になっている。

虐待・拷問ともいうべき凄惨ないじめ?

凄惨ないじめ事件に、いくつかの週刊誌も特集を組んだ
凄惨ないじめ事件に、いくつかの週刊誌も特集を組んだ

   この事件は、男子生徒が2007年7月3日、「金を要求されたが払えない。成績も下がり、死ぬしかない」という遺書を残して学校で飛び降り自殺したことから、いじめの可能性が浮上した。滝川高校側は、当初「いじめがあったとは認識していない」と説明していたが、兵庫県警が9月17日、同級生のA少年(17)(同県西宮市)を恐喝未遂の疑いで逮捕してから事態が進展。高校側も、生徒へのアンケートなどの再調査でいじめの事実が分かったとして、21日に記者会見して謝罪した。

   さらに、25日には、別の同級生のB少年(17)とC少年(18)(いずれも神戸市西区)が、A少年と共謀したとして恐喝未遂の疑いで逮捕され、いじめを越えたヤクザまがいの犯罪が明らかになってきた。自殺した男子生徒と少年3人は、同じフットサル同好会のメンバーだった。

   各紙が県警の調べとして報じたところによると、男子生徒と少年らは06年秋、「パチ(ウソ)一つにつき、1人当たり1万円を払う」との罰ゲームを約束。B、C少年は、男子生徒がウソをついたとして、A少年に命じて、07年春以降、金を催促する携帯電話のメールを送りつけさせた。メールには6月下旬、B、C少年の名前も書き入れ、「夏休みまでに(フットサル同好会の)メンバーに3万円ずつ払え」と脅した。そして、払えなかった場合には、「2倍の金額を2学期に払わせるか、退学にさせるか、登校拒否になるまでメンバーを勢ぞろいさせるかだ」などと迫った。さらに、生徒が怖がっていた同学年のグループ名を挙げ、「あいつらからリンチされるぞ」などと繰り返した。

   少年らに現金が渡ったことは確認されていないが、罰金は40~50万円に膨らんでいたという。

   しかし、こうした逮捕事実ばかりではない。さらに、虐待・拷問ともいうべき凄惨ないじめも報道されている。

「週刊誌はデタラメばかりで、法的な対応を取りたい」

   「ネットに剃毛映像」とセンセーショナルな見出しで報じたのが「週刊新潮」07年10月4日号。このほか、各メディアでは、少年グループの一人から偽ブランドのブレスレットを買わされた、髪の毛をモヒカンのように刈り上げられた、机の上やカバンの中に紙粘土が盛られた、など凄まじいいじめの数々が報道されている。

   このような報道を、滝川高校側はどのように考えるのか。同校の桐山智夫校長は9月27日、J-CASTニュースの取材に対し、「把握していないので、お答えしかねます」と話した。さらに、「週刊誌はデタラメばかり。そのほとんどが事実に基づいていないので、法的な対応を取りたい」と強い態度を示した。

   凄惨ないじめ報道に、ネット上では、まとめサイトなども出現。それらには、加害者少年の実名や住所、写真などの個人情報がアップされ、誹謗・中傷の言葉が書き込まれている。これに対し、桐山校長は、「うちの生徒たちが書き込んだと思える部分があるので、書き込まないように呼びかけている。神戸地方法務局にも、人権侵犯被害の申告をする準備をしている」と話す。

   とはいえ、高校側はなぜ、いじめが犯罪と言えるほど拡大するまで気が付かなかったのか。そのことを問うと、桐山校長は「事前に分かれば、放置しなかった。いじめは、後で分かってきたこと」と説明するのみだった。

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