2024年 5月 1日 (水)

守屋スキャンダル、「海外腐敗防止法」で「第二のロッキード事件」の可能性

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   守屋武昌前防衛事務次官が防衛専門商社「山田洋行」から過剰なゴルフ接待を受けていたことに端を発する一連の防衛省に関する疑惑が、思わぬ方向に飛び火する可能性が出てきた。山田洋行の元専務・宮崎元伸容疑者(69)が同社を独立して設立した「日本ミライズ」が米社との代理店契約を奪取したが、これに関連して守屋氏や防衛官僚が米企業から接待を受けていた場合、この企業は米国の「海外腐敗防止法」で刑事責任を問われる可能性が高いからだ。そうなると「第二のロッキード事件」という声が現実味を帯びる。

違反した場合、最長5年の懲役刑

防衛省のスキャンダルは米国に飛び火するのか
防衛省のスキャンダルは米国に飛び火するのか

   航空自衛隊の次期輸送機(C-X)エンジンを製造する米ゼネラル・エレクトリック(GE)社が山田洋行との代理店契約を打ち切り、日本ミライズに「乗り換え」た経緯をめぐって、守屋氏が宮崎容疑者側に便宜供与を測ったのではないか、という疑惑が指摘されている。また、産経新聞は07年11月19日、日本ミライズが、航空機メーカー「ノースロップ・グラマン(NG)社」との代理店契約も山田洋行から「奪取」していた、とも報じている。

   一方の守屋氏は、宮崎容疑者から「8年間で300回以上、総額1500万円以上」のゴルフ接待を受けていたことが明らかになっており、これが賄賂にあたるかどうかに注目が集まっている。

   そんな中、守屋氏と米企業との関連に注目する動きが出ている、というのだ。起訴休職外務事務官の佐藤優氏は、07年11月13日、ライブドアのサイトに連載しているコラム「眼光紙背」で、このように指摘している。

「さて、日本のマスコミが本質と関係ない報道に明け暮れしている間に、東京のインテリジェンス(諜報)のプロたちは、守屋氏に関する情報を徹底的に集めている。それは、アメリカにこの事件がどう波及するかという観点からだ」

佐藤氏のコラムによると、米国の「外国公務員腐敗防止法」という法律がポイントになるという。

   同法は「海外腐敗防止法(Foreign Corrupt Practices Act, FCPA)」とも呼ばれ、1977年に制定、翌78年に施行された。米商務省がまとめた資料によると、同法では、「米国企業が商取引を得る、または継続するために、外国の政府関係者に腐敗した支払いをすること」を禁じており、これに違反した場合は刑事責任を追及される。企業が支払った額の多少ではなく、「支払いの目的」が重視される。違反した場合、企業(法人)の場合は最高200万ドルの罰金、従業員などの場合は最高10万ドルと最長5年の懲役刑だ。

情報のプロたちは強い関心を示している

   つまり、仮に今回の代理店契約変更に関連して、米国から見れば「外国の政府関係者」にあたる守屋氏が米企業から何らかの接待を受けていたとすれば、その企業の刑事責任が問われる可能性が高い、ということだ。

   同法をめぐっては、日経金融新聞が07年10月22日に報じたところによると、これまでに約400社が制裁を受け、合計で約3億ドルの制裁金・罰金を支払っている。現在でも、米司法省は90~100件の海外収賄事件を調べているという。

   さらに、最近では米政府も同法の適用を積極化しているといい、エネルギー関連多国籍企業の「シェブロン」も、07年11月中旬、01年から02年に行われたイラクでの事業に関連してキックバックを受け取ったとして、3000万ドルを支払うことで米証券取引委員会(SEC)などと和解したばかりだ。

   それだけに、仮に守屋氏と米企業とのつながりが明らかになった場合は、米企業側は一気に「炎上」する可能性がある、という訳だ。前出の佐藤氏のコラムによると、

「仮に外国公務員腐敗防止法に絡まる事案があると、かつて日本で起きたロッキード事件をはるかに上回るアメリカ政界を揺さぶる大スキャンダルに発展する可能性があることに情報のプロたちは強い関心を示している」

のだという。

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