2024年 4月 26日 (金)

海運株が急騰 四川大地震の「復興需要」の思惑も

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   海運株が再び上昇している。海運大手の川崎汽船の2008年5月19日の株価は、終値で前日(5月16日)比で11円高の1248円。商船三井も17円高の1664円だった。海運貨物のバラ積み船運賃の国際的な指標「バルチック海運指数」(BDI=1985年平均を1000とする)が急騰していることを受けたものだ。それに四川大地震の「復興需要」の思惑も加わっている。

バルチック海運指数が「復活」

海運株が注目されている(写真はイメージ)
海運株が注目されている(写真はイメージ)

   バルチック海運指数は08年5月19日には前日比250ポイント上昇して1万1709ポイントとなり、07年11月13日につけた最高値1万1039ポイントを上回り、さらに5月15日、16日と過去最高を連日更新している。

   07年秋ごろまで急騰していたバルチック海運指数は、米国のサブプライム問題に端を発する世界的な景気の後退感で一転し、米国経済の先行き不安に先行するように下落していた。

   07年11月13日には過去最高(当時)の1万1039ポイントをつけたが、08年1月29日には5615ポイントまで落ち込んだ。これにあわせるように、07年11月に1400円台で推移していた川崎汽船の株価は08年1月22日には848円まで下がった。

   ところが、川崎汽船株はバルチック海運指数が1万1459ポイントをつけた5月16日に年初来高値の1270円をつけた。

   商船三井系のバラ積み船に強い第一中央汽船の5月19日の終値は前日(5月16日)比24円高い848円。乾汽船は21円高の1786円、新和汽船は5円高い794円と、軒並み上昇した。

   また、物流のヤマトホールディングスと提携するなど、川崎汽船や商船三井に比べて物流事業の売上構成が大きい日本郵船はバラ積み船などの海運市況の恩恵が小さいことや、貨物航空子会社をもつことから原油高が響いて、伸びは鈍い。それでも、5月12日以降、日本郵船株は16日まで連日16~32円の幅で上昇した。

中国発着の輸送、落ち込みは一時的?

   資源関係では、豪州で港湾設備が追いつかずに沖合いで待機している船があって、海運業者にとっては「動かせる船」が限られている事情もある。欧米の景気後退の影響で荷動きは鈍くなっているものの、中東地域やアジア、中国の景気は堅調でこちらの荷動きは活発。なかでも、ブラジルから中国向けの鉄鉱石などの荷動きが好調なこともあって、多少高めの運賃を支払ってでも輸送したいというニーズに応えているようだ。

   海運株が急騰したのは四川大地震が起こった5月12日以降。バルチック海運指数は、毎年4~5月には日本向けの火力発電用の石炭や穀物輸送が増えるという季節要因もあって上昇するが、いまの指数の急上昇は「四川大地震の復興需要を見込んだ思惑が入り乱れている」(証券アナリスト)と指摘する。

   四川大地震の影響で今後しばらく、中国発着の輸送は落ち込むことが予想されるが、そうなると「米国や南米などからの、他の長距離輸送に切り替える必要が出てくるため、長距離輸送の需給はよりタイトになる。いまの運賃がマイナスになることはない」(前出の証券アナリスト)と、バルチック海運指数も当分上昇しそうで、海運株もつれて上がる気配だ。

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