アップル社のタッチパネル式の携帯電話「iPhone(アイフォーン)3G」が発売され、携帯電話端末としては異例の盛り上がりを見せている。「事前の予約を受け付けない」という異例の方針がとられたが、あまり明確な理由は見いだせない。ただ、店舗によっては「実は予約を受け付けていた」ケースも存在し、一部の店舗では混乱も起こっているようだ。「契約にかかわることなので、コメントできない」有楽町では約360人が列を作った2008年7月11日、iPhoneが全国で一番早く発売された「ソフトバンク表参道」には、徹夜組を含めて1500人以上が列を作り、その長さは約800メートルにも達した。ヨドバシカメラのマルチメディアAkibaやビックカメラの有楽町店にもiPhone購入希望者の長い列ができ、混乱を避けるために整理券を配布するなどして対応。この日用意された分は完売した。ところが、発売元のソフトバンクモバイルが「iPhoneについては事前予約は受け付けない」という方針をとっていたため、各地で混乱が生じているようなのだ。小売店では「事前予約ができない」というケースはあまり多くない。今回の異例の措置の理由について、一部では「品薄感をあおってブランドイメージを維持するために、アップル社が予約販売を認めなかったのでは」との憶測も広がっている。ソフトバンクモバイル広報部は、「(アップル社との)契約にかかわることなので、コメントできない」と、「ノーコメント」との立場。事前予約を行わなかった理由については「事前予約を受け付けたとしても、必ず製品をお渡しできるとは限らないため」と説明した。ところが、J-CASTニュースでも6月24日に「過熱人気『iPhone』早くも品切れ? ソフトバンク店『予約打ち切り』続出」という記事で報じたように、「実は『先行予約』を受け付けていた」という店舗も少なからず存在する。同社の方針に反して小売店の「勇み足」となった形だが、これが尾を引き、一部では混乱も発生した。事前予約で販売され、並んでも購入できない店も例えば日経BP社のニュースサイト「ITPro」が報じたところによれば、同社の代理店「ソフトバンクモバイル恵比寿」では、iPhoneを購入できなかった来店者の苦情が殺到し、iPhone発売時間であるはずの7月11日正午時点で閉店を宣言。シャッターが8割程度閉められた状態が続いた。開店前に20人程度が列を作っていたが、「同店の割り当て分は、事前予約をしていた購入希望者や法人に販売され、並んでも購入できない」といった情報が伝わり、列を作っていた人の怒りに火をつけた模様だ。同店では、「予約を受け付けたわけではなく、仮予約を受け付けた」などと釈明しているという。J-CASTニュースでも同店に経緯を問い合わせてみたが、「ソフトバンクモバイルの広報を通してほしい。こちらからはお答えできない」と、ノーコメントだった。また、都内の別の店舗では、7月11日夜の時点で、「お客様からご要望いただいたお品物なのですが、ご予約いただいたお客様から順番にご連絡を行なっており、お客様の順番が入荷台数に届かなかった為、次回入荷以降でのご案内とさせていただきます。ですので、入荷次第ご連絡させていただきます」とのメールを予約客に送付。予約をしても購入できない、という状況が続いている。ソフトバンクモバイルの広報部では、一連の足並みの乱れについて、「量販店など、一部ではそのような(事前予約を受け付ける)ことも発生した可能性はありますが、弊社としては事前予約は行わない、という方針です」と話すにとどまっている。当面は品薄感が収まる見通しは立っておらず、購入希望者の間で混乱が続きそうだ。
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