2024年 4月 29日 (月)

カシミヤ混入率インチキ表示 なぜ生協は発見できなかったのか

   中国製のカシミヤ製品の表示に、不正が相次いでいる。生協の製品が、カシミヤ混入率50%のはずなのに、本当は2~5%だったことも発覚した。安心を売りものにしている生協だけに、衝撃が走っている。

原料を販売する中国の整毛会社で不正があった?

HPではカシミヤセーターの誤表示についてお詫びしている
HPではカシミヤセーターの誤表示についてお詫びしている

   生協の連合会「日本生活協同組合連合会」がカシミヤ50%と表示して販売したセーター類に実際には数%しか含まれていないものがあったとして、公正取引委員会は2008年7月17日、「景品表示法」に違反する、と排除命令を出した。該当するのは通販カタログ「くらしと生協」で遅くとも07年9月頃から08年3月頃までに販売していた「ハーフカシミヤセーター・シリーズ」9品。販売価格は4990~6990円。日本生協連によると、同時期に販売した5万枚すべてを回収して、購入者には返金した。

   ホームページに掲載した謝罪文には、販売前に検査していたにも関わらず、不正を発見できなかった経緯が書かれている。

「本商品は取り扱い前に素材の検査を行い混率を確認した後にお届けしており、誌面、及び商品には『素材:カシミヤ50%・毛50%』と表示しておりました。しかし、本年3月に実施した在庫商品の再検査で、表示を下回るカシミヤ混率の商品が見つかりました」

   今回発覚した中には、なんと、カシミヤが2~5%のものがあった。50%とは手触りもだいぶ異なるはずだ。検品や梱包時に複数のスタッフが関わったと考えられるが、誰も気がつかなかったのか。

販売会社としての責任は大きい 検査回数を増やしていく

   日本生協連の担当者は「本当にわからなかった」と話す。さらに、「委託していた製造会社からは、納品時にカシミヤの混率を証明する『混率証明書』が付いていて、そこには確かに50%と書かれていた」と説明する。製造を委託しているのは、大阪にあるアパレルメーカーの藤井で、シリーズの販売を開始した02年からの付き合いだ。藤井が契約する中国の工場で作られた製品は、貿易会社を介して藤井から日本生協連に届けられる。不正が見つかっているのは、06年9月からで、整毛会社が代わった時期とほぼ重なるため、日本生協連などは原料を販売する中国の整毛会社で不正があったのではないかと見ている。

   藤井の担当者は、「初回生産時に検査をしたが、問題はなかった。検査をしなかった追加生産分で起こったのではないか。発覚後に中国に確認しに行ったが、今となってはいつから起こっていたのか確かな時期はわからない」といっている。

「今後は検査の回数を増やしていく」

   日本生協連は、06年までの4年間は藤井から得た証明書だけを頼りにしていた。もっとも07年からは独自の調査もしていて、初回入荷分の一部を外部機関に依頼していた。それでも発見できなかったことについて担当者は、「販売会社としての責任は大きい。今後は生地になった段階、製品ができた段階と、検査の回数を増やしていく」と話し、品質管理の強化が課題だ。

   ネットには、

「このカシミヤ不正ニュースをみたときホントに生協に腹がたちました。消費者は生協だからカシミヤ不正表示なんてしない、大丈夫、まさか不正表示なんて真似を堂々と、半年以上も続けてたなんて信じられないですよ、いまだに!」
「利益優先で、消費者のことは後回しなんでしょうか。
生協なら安心というのも崩壊しそうです」

といった非難が書き込まれている。

   カシミヤの混率不正は最近、相次いで起こっている。07年8月には小杉産業が製造した中国製カシミヤセーターが、カシミア50%と表示されていたが実際には1.6~25.5%だったことが発覚した。同時期には丹羽幸が製造したカシミヤ100%と表示していた中国製セーターが実際には16.1~26.4%程度だった。また07年10月には、ユナイテッドアローズが展開するブランド「Jewel Changes」の中国製ストールにカシミヤ70%と表示されていたが、まったく使用されていないことがわかった。

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