2024年 4月 28日 (日)

破綻大和生命ふくらむ債務 ツケは他生保の契約者にも

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   2008年10月に破綻した大和生命保険のスポンサーが米プルデンシャルに決まった。ただ、大和生命の債務超過額は金融危機の影響で当初の6倍近くに膨らみ、プルデンシャルの買収額では埋めきれない。大和生命契約者の保険金の大幅削減に加え、生保業界で組織する「生命保険契約者保護機構」に資金援助を仰ぐことになり、ずさんな経営のツケは実質的に他社の契約者も払わされる。

債務超過額は当初の6倍近く

   「なぜ我々が放漫経営の尻拭いをしないといけないのか」。大和生命への資金援助に大手生保幹部は憤慨する。業界下位の大和生命は保険料収入の低迷をカバーするため、業界でも突出して証券化商品などの高リスク投資に傾斜していた。ところが、金融危機で巨額の損失を抱え、破綻に追い込まれた。

   さらに大和生命の債務超過額は破綻時に114億円だったが、その後も金融市場の混乱が続いたため、保有する証券化商品などの価格が値下がりし、債務超過額は643億円にまで膨らんだ。プルデンシャルの買収額は公表されていないが、50億~100億円とされ、債務超過額には遠く及ばない。

   買収額で債務超過を穴埋めできないと、契約者の保険金がカットされる。大和生命は保険金の支払い原資である責任準備金の総額が限度いっぱいの1割カットされ、予定利率(契約者に約束した運用利回り)も従来の平均3.35%から1%に引き下げられる。これは2000年に破綻した第百生命保険や大正生命保険と並んで契約者に厳しい内容だ。

   だが、それでも債務超過を埋めるまでには至らず、生命保険契約者保護機構の資金援助額は300億円前後に達する見込み。保護機構による援助は大正生命の破綻以来となる。なお、大正生命は破綻後、大和生命が受け皿となっており、大正生命時代からの契約者は2度目の保険金削減という憂き目に遭う。

「営業網に魅力がない」と国内生保関心示さず

   そもそも大和生命には「営業網に魅力がない」と国内生保は関心を示さず、入札に参加したのは、プルデンシャルと転売目的の投資ファンドの2社だけ。プルデンシャルは2000年に破綻した旧協栄生命保険(現ジブラルタ生命)を傘下に収めており、日本での足場拡大を狙っているが、経営危機の米AIGが買収を表明したAIGエジソン生命とAIGスター生命の買収にも名乗りを上げている。しかもプルデンシャル自体の業績も金融危機で悪化しており、提示した買収額は限られた。

   結局とばっちりを受けたのは生保業界。資金援助の原資は生保各社の拠出金だが、もとをたどると各社の契約者が支払った保険料が大和生命の破綻の穴埋めに回されることになる。「生保不信」が広がると、景気悪化で進む「生保離れ」を加速しかねない。大和生命破綻時の社長が2000万円の私財を提供したが、「焼け石に水」で、業界各社は怒りのやり場もないようだ。

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