「朝ズバッ」損害賠償判決 生中継の在り方見直しか

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   朝の情報番組の生中継でプライバシーを侵害されたとして、会社員が放送局側に損害賠償を求めていた裁判で、放送局側敗訴の判決が下された。テレビ報道では、生中継という手段は必要不可欠だとも言えるが、この手法は「禁じ手」になってしまうのか。

「『強引すぎる』と言われてもやむを得ないでしょう」

   問題とされたのは、2007年1月11日にTBS系で放送された情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」。この日の番組では、外資系金融機関社員の男性が妻に殺害された事件の現場マンション前から生中継を行った。中継をしていたアナウンサーは、現場近くでゴミ収集作業中だった男性に取材をしようとしたが、男性はこれを拒否。男性は「これ、テレビに出るんですか」と質問し、アナウンサーは「映さないように配慮します」と応じたが、スタジオで司会をしていた、みのもんたさんは

「映っちゃってるよ、もう十分」

と発言。また、

「(事件の容疑者が)手首を生ゴミと一緒に出したってことは、この収集車が集めに来てるわけ?」

とも話した。

   このやりとりに対して、男性側は「撮影を拒む原告(男性)をあざ笑った。遺体の一部を運んだかのような印象を与え、被害を受けた」として、TBS(現:TBSホールディングス)と、みのさんに対して1100万円の損害賠償を求めて提訴していた。

   09年4月14日に東京地裁(須藤典明裁判長)であった判決では、みのさんについては「侮辱する意図はなかった。番組編集権もない」として賠償責任は認めなかったが、TBS側については「取材を拒んだ男性を特定できる形で中継した」として、肖像権やプライバシーの侵害にあたるとして、120万円の支払いを命じた。

   現場からの生中継はテレビの報道番組にとっては不可欠な存在で、これをめぐって訴訟を起こされるのは異例だ。だが、今回の判決について、名誉棄損訴訟に詳しい梓澤和幸(あずさわ・かずゆき)弁護士は、

「事件自体を報道する場合や、事件と直接関連するものであれば、公共性が高まるので、関係者が映るのはやむを得ない面があります。ただ、今回の原告男性は事件と関係なく、公的な関心事だとは言えません。明確に撮影を拒否されている以上、(生中継は)違法とされても仕方ありません。映される側からすれば、生放送は後で編集する余地もない訳ですし、局側は『強引すぎる』と言われてもやむを得ないでしょう」

と判決に理解を示す。さらに、生放送特有の危険性を指摘、生放送のあり方を見直すべきだとしている。

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