2024年 4月 23日 (火)

11年7月の地上放送デジタル移行 「絶望的状況」で延期しかない
(連載「テレビ崩壊」第9回/ジャーナリスト・坂本衛さんに聞く)

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延期して困るのは携帯電話事業者?

――民放についてはいかがですか。

坂本 1系列あたり、20~30億かかるとみられています。したがって、民放全体では年に150億円程度。ですが、民放にとっては、きわめて軽い負担です。例えば日本テレビの08年度の売り上げは3246億円。1日に10億円以上のCM収入があります。2~3日分の収入で、系列局が1年間アナログを続けるだけの費用がまかなえる計算です。

――では、延期して困る所は?

坂本 恥をかく総務省を除けば、携帯電話事業者くらいでしょう。彼らはアナログの「跡地」を当て込んでビジネスの展開を考えていますからね。彼らは「ビジネスチャンスが失われる」と言うでしょうが、別に失われる訳ではありません。計画が延期されるだけです。つまり、アナログ停波を延期したとしても、誰も損する人はいないんです。

――いずれにせよ、完全デジタル化はやってきます。そんな中で、地方局はこれまで地デジに多額の投資をしてきました。

坂本 現在の地方局の多くが県域放送ですが、私はこれは、視聴者にとってはやや中途半端な存在だと思っています。長野県を例に取ると、県庁所在地は長野ですが、南部は名古屋の文化圏で、北部は豪雪地帯で新潟の文化圏。そういうところで、同じ放送を流すのは無理があります。
   一方で、地方には「どこの地域でインフルエンザが発生して休校や学級閉鎖になった」といった、きめ細かい情報を求める声があります。県域放送は、これには大きすぎます。対応するのにちょうどいいサイズは、ケーブルテレビ(CATV)やコミュニティー放送。一方で、テレビ局番組のほとんどは東京で作られています。タレントが地方ロケすることはあっても、番組自体を作るのは東京、というのが基本です。そんな中で、地方局というのは微妙な立ち位置に立たされている訳です。
   ただ、ニュースなどを取材するとなると、CATVやコミュニティー放送は小さすぎる。災害の取材については、県域局ぐらいのしっかりした取材基盤が欲しい、という面もあります。難しい問題です。

――番組のほとんどが東京製で「中継塔に成り下がるのでは」との指摘もあります。

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