2024年 4月 20日 (土)

「100万円おじさん」ラーメン店 売り上げ減に「所得税」の追い打ち

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   大阪のラーメン店で、男性客が子どもたちに食べさせてと100万円を置いていった出来事があった。その意をくんで、店は高校生以下に無料サービスし、5日間でたちまち金額分を使い切ったが…。

「もうお店が、小学校みたいな感じでしたね。子どもたちに夢を与えられたのは、よかったと思います」

競艇場などで大当たりを出した可能性

   大阪市内のラーメン店「麺匠 味冨久」住之江店の店長は、こう話す。

   騒ぎのきっかけを作った男性客は、2010年7月27日午後3時ごろ、レジで100万円を置くと、タクシーで立ち去った。店長は、その日のうちに住之江署に拾得物として届け出たが、客の意にも背けないと、8月2日から650円のラーメンを高校生以下の子どもたちに無料で提供した。

   そのことは口コミで広がり、1540杯分が5日間でなくなってしまったという。「お礼を言いたい」との子どもたちが多かったことから、店では、男性客の似顔絵を作って、会ったらお礼を言うよう呼びかけている。

   この話が報じられると、ネット上では、男性客が何者なのか、などを巡って憶測が飛び交っている。

   2ちゃんねるを見ると、世話になったお礼説から、宝くじなどに当たった、2児放置死事件に心を痛めて、税金対策、お店の話題作りなどまで、様々だ。

   ラーメン店店長は、話題作りについては否定し、男性客については、近くの競艇場などで大当たりを出した可能性もあるとみている。

「チューハイも2杯飲んで行かれたのですが、昼間から飲まれる方は限られているんですよ。身なりは派手ではなく、高価な腕時計もしていませんでした。しかし、そんな素朴な感じの方も、けっこうおられるんですね」

   子どもたちにラーメンという動機については、夏休みなので考えたぐらいしか思いつかないという。

所得税課税を聞き、店長は困惑

   拾得物として届け出た100万円は、3か月後に男性客が取りに現れなければ、店のものになる。

   ところが、男性客やラーメン店の粋な計らいも、必ずしも報われることがないようなのだ。

   国税庁の報道係によると、100万円は拾得物か贈与になりうるが、店が警察に届け出たので、この場合は、拾得物になる。法人として届け出た場合は、100万円は雑所得として所得レベルによって22%か30%が課税される。また、個人として届け出た場合は、一時所得として同様に5~40%が課税される。いずれにせよ、100万円は所得として、税金がかかってしまうということだ。

   このことを店長にぶつけると、こう明かした。

「そうなんですか。警察官から説明がなかったので、まったく考えていませんでした。ちょっと困りましたね」

   この騒ぎで店は有名になったが、必ずしも売り上げに結びついていないという。

「子どもたちは、ラーメン1杯で帰ってしまうので、売り上げそのものは下がりました。この間、ビールなどを注文してくれる普段のお客さまは、入って来なかったですからね。無料サービス後も、元に戻っただけで、有名になるのと、もうかるのは別問題です」

   3か月後に入ってくる100万円も税金を取られれば、店には損失になるかもしれない。子どもたちの夢実現には、いくぶん代償も支払わねばならなかったようだ。

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