2024年 4月 27日 (土)

日本勢が先行する炭素繊維 中国勢参入で正念場迎える 

リサイクルの促進も重要テーマ

   ただ、これ以上の普及には高い価格がネックになっている。炭素繊維の1キログラム当たりの値段は現在、2000円前後とされ、鉄の20倍程度にもなるため、「ふんだんに使いたくても使えない状況」(大手自動車メーカー)。

   このため、各社とも量産体制確立を含めた生産性向上を進めているが、リサイクルの促進も各社の開発スタッフの重要テーマとなっている。1000度以上の高温でじっくり焼いて作る炭素繊維は製造時に多くのエネルギーが必要だが、今は1回使うと産業廃棄物として埋め立て処分される。これを再利用できれば素材としての「寿命」を延ばすことで価格を抑えられる可能性があるからだ。

   1961年に日本で開発された炭素繊維は、日本勢が一貫して先行し続ける有望分野。ただ、最近では中国が国家戦略として10社以上を参入させるなどしており、今後は世界的な競争が激しくなりそうだ。優位を保つには、複雑な形状の部品は作りにくいといった弱点をさらに克服する技術を開発する一方、量産やリサイクルなどによる価格競争力をいかに強めるかがポイントになりそうだ。

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