2024年 4月 30日 (火)

三井住友と縁切った大和証券 業績低下、独立路線貫けるのか

   証券業界2位の大和証券グループ本社が、2009年末に三井住友フィナンシャルグループとの提携を解消してから1年が経過した。メガバンクの後ろ盾を失ったことで、企業の公募増資や社債を引き受ける法人部門が苦戦、アジア事業の強化で活路を開く方針だが、このまま独立路線を貫けるのか、注目が集まっている。

   大和は三井住友と1998年に資本・業務提携に合意し、法人向け業務を手がける合弁会社「大和証券SMBC(現大和証券キャピタル・マーケッツ)」を設立した。

大手5社で唯一最終赤字を計上

   しかし、三井住友は2009年10月、経営危機に陥った米シティグループから日興コーディアル証券を買収、大和との統合を狙った。三井住友に経営の主導権を握られることを懸念した大和は、三井住友との提携を解消。2010年1月、独立路線に踏み出した。

   だが、「銀証連携」を捨てた代償は大きかったようだ。大和の2010年9月中間連結決算は、大手5社で唯一、最終赤字を計上。関係の深かった国際石油開発帝石の増資で主幹事を落とすなど、法人部門の苦戦が響いた。一方、日興は、三井住友の取引先のM&A(企業の合併・買収)仲介業務や社債発行、増資案件を着々と獲得。2010年9月中間連結決算は、売上高を示す純営業収益が前年同期比24%増の大幅増収、経常増益も確保した。

   10年度上半期は、欧州財政問題や市況の混乱を受け、公募増資や新規上場が少なく、業界全体が厳しい経営環境だったのは確か。三菱UFJフィナンシャル・グループの公募増資の共同主幹事など、大和が「独立路線になったからこそ、獲得できた案件もある」(幹部)。

三井住友は『復縁』を虎視眈々と狙う?

   それでも、大和の苦戦ぶりは否めず、「三井住友と提携していた10年余りの間に、銀行の顧客企業を紹介されることに慣れきってしまい、法人営業の足腰が弱っている」(金融庁幹部)との評価が定着しつつある。

   大和が活路を見いだそうとしているのが、アジアを中心とする海外事業だ。ベルギーの金融大手、KBCグループからアジア部門などを買収するなど、海外事業を急拡大させており、海外のグループ従業員数は国内部門に並ぶ勢いだ。

   ただ、アジアは世界中の証券会社がしのぎを削る激戦区。大和幹部は「国内金融機関との提携はない」と言い切るが、切り札のアジア事業の黒字化に手間取るようなことがあれば、「『復縁』を虎視眈々と狙っている」(証券業界関係者)とされる三井住友などとの再編観測も信ぴょう性が増すかもしれない。

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