2018年 7月 21日 (土)

新成長戦略の目玉総合取引所 省庁間の縄張り争いで迷走

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   政府が2010年6月にまとめた新成長戦略で、金融分野の目玉と位置づけられた「総合取引所構想」が迷走している。金融庁と経済産業省、農林水産省は昨年末、証券や石油、穀物など上場商品ごとに異なる規制・監督の一元化を柱とする「中間整理」をまとめたものの、具体的な手法については3省庁による3案を併記するにとどまり、省庁間の縄張り争いが露呈した形だ。

   総合取引所構想は、3省庁に分かれている規制・監督を一元化することで、証券や石油、穀物などの商品を一括して扱う総合取引所を創設し、市場活性化を目指す。

各取引所の再編についても両論併記で終わる

   コストのかかる二重規制を取り払って投資を活発化させるのが狙いだ。慢性的な赤字を抱える商品取引所の「救済策」という側面もある。

   証券市場を所管する金融庁と、商品市場を所管する経産省、農水省の副大臣らでつくる政府の検討チームは、2010年末に構想の具体策をとりまとめる予定だった。しかし、金融庁が監督権限を同庁に集約するよう提案したのに対し、他省は強く反発。農水省は新たな独立監督機関「金融商品取引監視委員会」の創設を主張し、協議は暗礁に乗り上げた。

   2010年12月22日のとりまとめ作業は夜までもつれ込んだ。ようやく公表された中間整理は、2013年の総合取引所創設を目指すことを盛り込み、規制・監督の一元化もうたったものの、監督機関については各省の案を併記。各取引所の再編についても、政府が統合を促す案と、各取引所の経営判断に任せる案の両論併記となった。

政治決断の決定時期でも対立

   最終方針は「早急に政治決断する」としたが、その決定時期すら「遅くとも6月まで」「1月中をめど」と対立意見がそのまま記された。

   政府は2011年明けに協議を再開する方針だが、「省益にしがみついている傾向がなきにしもあらずで、非常に苦戦している」(自見庄三郎金融担当相)。国内商品市場は、東京穀物商品取引所が取引量低迷を理由に東京工業品取引所への市場移管を決めるなど「瀕死の状態」(市場関係者)が続く。東京証券取引所の年間売買代金も上海取引所に抜かれ、てこ入れが急務だが、取引所同士の統合については「慢性赤字の商品取引所を押しつけられかねない」(東証関係者)と証券取引所側の抵抗感が強い。総合取引所構想の迷走はしばらく続きそうだ。

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