ニュージーランドの地震で日本人28人を含む多数の行方不明者が出ている問題で、ワイドショーのレポーターが被災者に対して行ったインタビューに批判が集まっている。救助の際に右足を切断する重傷を負った男性に対して、スポーツが出来なくなってしまったことに関する感想を聞いたことが「無神経」などと猛烈な批判を浴びており、集中砲火状態だ。このニュースは中国の地方紙でも伝えられ、「取材を受ける人の心情を考えておらず、視聴者からは怒りの声があがった」と伝えている。脚が挟まった際の様子を、比較的詳しく聞く批判を浴びているのは、2011年2月25日に、フジテレビ系のワイドショー「とくダネ!」で放送された電話インタビュー。同番組の大村正樹リポーター(43)が、ビル倒壊現場から救出され、右脚を切断する重傷を負った専門学校生の奥田建人さん(19)に救出時の様子を尋ねる中で、脚が挟まった際の様子を、比較的詳しく聞いた。やり取りをそのまま書き起こすと、このような具合だ。大村レポーター:脚が挟まっていた?奥田さん:はい。大村レポーター:脚は、やっぱり痛かったですよね?奥田さん;ええ…、最初は。大村レポーター:最初は痛くて、やっぱりだんだん時間とともに変わってくるんですか?奥田さん:そうですね。大村レポーター:どんな風に?奥田さん:やっぱり、感覚がないというか…。大村レポーター:感覚がなくなった?奥田さん:慣れたというか…。わかんないですけど。大村レポーター:その時の様子は、あなたは、しっかり記憶はしてます?奥田さん:うーん、ちょっと、麻酔とか打ったたので、あまり覚えてないです。「これまでね、スポーツも色々出来ていた訳ですよね?」特に批判を浴びているのが、脚の切断に関するくだりだ。なお、奥田さんは、高校時代にはサッカー部のキャプテンを務めていた。大村レポーター:脚を切断するというのは、あなた自身は覚悟されてたんですか?奥田さん:そうですね。大体してましたね。大村レポーター:あー、そうですか…。今ね、自分の体が目の前にある訳ですけれどね、これまでね、スポーツも色々出来ていた訳ですよね?奥田さん:うーん、そうですね…。あまりまだ、何も考えられてないんですけど。とりあえず、命あったので。うーん、本当に助かって良かったね、って。あと、早く助かってない人も助けてほしいと思います。放送直後から、スポーツに関するくだりについて、「無神経な質問」といった批判がツイッター上に噴出していた。この件は、海外にも「飛び火」している。2月28日には中国紙「杭州日報」が、「フジテレビのインタビューが、人々の怒りを巻き起こしている」などと伝えており、脚を切断したことについての質問には「人々は、びっくり仰天した」などと伝えている。メディア側から反論も出ている3月1日には、この中国での報道をさらに「サーチナ」が引用し、コメント欄は日本のメディアに対する批判の声であふれている。なお、この批判には、メディアの側から反論も出ている。例えば2月26日にニューズウィーク日本版のウェブサイトに掲載されたコラムでは、「このインタビューとメディアスクラムの問題は分けて考えるべき」としながらも、「インタビュアーがむりやり言葉を引き出そうとしているわけでもないし、足を切断したという相手の状況にそれなりに配慮した聞き方をしている。プロの記者が奥田君に話を聞いて『足切断』について聞かないことはありえない」と主張。このコラムに対しても、ツイッター上では、メディアの常識と視聴者の常識の違いについて指摘する批判的な声や、コラムの趣旨に賛同する意見など賛否両論で、議論はさらに広がることになりそうだ。
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