2024年 4月 19日 (金)

就職「超」氷河期がやって来る 12年度は震災が追い討ち

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   新年度を迎え、就職氷河期を乗り越えてきた新入社員が社会人として新たな舞台に立った一方で、2012年度の就職戦線が動き始めている。

   東日本大震災の被災地では、企業が被災して事業の再開のめどが立たず自宅待機になっていたり、採用が取り消されたりと、先行きが見えない人が少なくない。11年度が就職氷河期の「底」と思っていた大学生にとって、大震災でその底が抜けてしまうとは思ってもいなかっただろう。

今後の業績しだいで「採用」下方修正の可能性も

2012年度の就活は「超」氷河期なのか(写真はイメージ)
2012年度の就活は「超」氷河期なのか(写真はイメージ)

   2011年4月から、12年度の採用活動を予定していた大手企業は、「被災地の学生が就活で不利にならないよう」との配慮から、会社説明会やセミナーの開催を軒並み延期している。しかし、採用計画の変更を表明している企業はほとんどない。

   人材支援サービスのHRプロが震災後の2011年3月18日以降に調査したところでは、回答した130社のうち74.6%が「採用予定数はほとんど影響を受けない」と答えた。

   半面、「採用予定数より3割以上減少すると予想する」が5.4%、「1~2割減少する」が14.6%ある。新卒採用を当初の予定より減らすことが「長い目でみたときに得策ではないとの思いを抱えている」(HRプロ)とみている。

   被災地である仙台市に本社を構える、生活用品・ペット用品のアイリスオーヤマは11年度の新入社員が100人(高卒を含む)。12年度も11年度並み(うち、大卒68人)を計画していて、「震災の影響で採用人数を抑える予定はありません」と話す。

   日立製作所や住友金属、JR西日本なども前年並み。東レや三菱電機は増やす予定だ。損害保険ジャパンも「今のところ採用人数の変更はない」と話している。

   しかし、いずれも「今のところ」という話である。

   一方、河北新報社(仙台市)や岩手日報、福島民報社などの被災地の地方紙が採用活動の未定や延期を明らかにしている。震災後の3月29日にはパナソニックが、三洋電機とパナソニック電工を含めた国内の新卒採用を、11年度と比べて31%減の350人にすると発表した。

   現段階では明らかにしていなくても、今後の業績しだいで採用予定者数を下方修正する企業は増えてくる可能性は大きい。

多くの「就職浪人」生み出すおそれ

   実際、2012年度の就職戦線は「超」氷河期のようだ。被災地では今もなお操業再開の見込みが立たない工場が多数ある。今後、大手企業が工場などの生産拠点ごと海外に移すようなことになれば、雇用の場そのものが減る。

   厚生労働省によると、4月1日に入社予定だった新卒者のうち、震災の影響で内定を取り消された人は3月31日までに全国で約20の事業所で120人に上っていることがわかった。今後の大量取り消しもあり得るし、最近は卒業後2~3年の人を新卒者扱いとして採用試験を受けることを認めている企業もあることから、「就活生」が増えて競争は激化する。

   じつは被災した学生のために大手企業がとった「延期」策にも問題がないわけではない。「就活」に詳しい、石渡嶺司氏は「被災した学生にとって採用活動の延期はたしかに助かるでしょう。ただスケジュールを後ろにずらすと、中小企業の採用スケジュールもずれ込むことになるので、新年度のギリギリまで決まらない人が増えてしまう」と指摘。人材のミスマッチが広がり、結果的に「就活」が長期化して、ますます多くの就職浪人を生み出すおそれがある。

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