2024年 5月 2日 (木)

鉄道事故批判報道で停職、更迭も 「大きな脅威」に抗う中国メディアの慨嘆

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   40人が犠牲となった中国の高速鉄道衝突事故で、当局を批判した現地のテレビや新聞の関係者に対する処分が出されているという。

   中国国営中央テレビのプロデューサーは、番組で高速鉄道の安全性を疑問視する内容を放送したため停職処分を受けたと伝えられた。メディアへの締め付けが、いっそう厳しさを増しているようだ。

鉄道の安全性を疑問視する番組編成

事故後すぐに車両を埋めた対応は批判された(中国の動画投稿サイトより)
事故後すぐに車両を埋めた対応は批判された(中国の動画投稿サイトより)

   国際ジャーナリスト連盟(IFJ)は2011年8月2日、中国国営中央テレビのプロデューサー、王青雷氏が7月27日付で停職処分にされているとして、中国共産党の中央宣伝部に「即刻復職させるよう求める」との声明文を出した。

   IFJによると、王氏が担当する「24時間」というニュース番組で、7月23日に浙江省・温州で起きた高速鉄道の事故を報じた際、中国鉄道省が事態の収拾を急いだことに疑問を投げかけるとともに、7月26日には、高速鉄道の安全性について当局側が「問題ない」としたことに対しても、疑念を抱く番組内容を編成した。安全よりもスピードを重視する姿勢や、事故後に車両を土中に埋めた対応を批判する内容に、当局が危機感を強めて処分に動いた模様だ。

   王氏は8月1日、簡易ブログ「新浪微博」に投稿。「常に規制や妨害へと動く者は、表面的な平穏しかもたらせず、背後にはより大きな脅威を隠している。我が国が成長、成熟するうえで必要なのは、真実の声だ」と書き込んだ。処分については触れておらず、直接的な言い回しはしていないが、高速鉄道の事故に関して真相の究明を求める自身の主張を改めて示したと考えられる。

   事故当初から中国メディアは「報道合戦」を展開し、当局への批判を恐れない記事を掲載する媒体もあった。これに対して共産党宣伝部は、公式発表以外の独自の報道を禁じる通達を出して抑え込みにかかると、報道もトーンダウンしてしまう。王氏にたいする処分は、国営テレビの制作者が当局に「そむいた」だけに影響も大きいとみなしたのかもしれない。

説明なく突如放送中止になるニュース番組

   処分を受けたのは、王氏だけではなさそうだ。香港メディアが伝えたところでは、上海の新聞「青年報」の副編集長が事故報道に関連して更迭されたという。紙面制作で当局の指示に従わず、1面記事で事故の犠牲者に哀悼の意を示したことが理由だと報じられている。ただし正式な発表は出ておらず、実際のところは不明だ。

   先述のIFJの声明では、中国国営テレビの別の報道番組で、予定されていた7月26日の放送が突然中止になっていたと指摘した。

   厳しさを増す報道規制に対して、記者も黙ってはいない。「新浪微博」などインターネットサービスを駆使して、当局側によるメディア規制の実態を暴露するなど、抵抗を続けている。

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