2024年 5月 6日 (月)

原発事故で国際賠償数百兆円? 外務省「請求の話は聞いたことがない」

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国連海洋法条約などの違反はない?

   識者らによる巨額賠償の話は、どこまで本当なのか。

   外務省の各課に聞くと、各国が請求準備をしていることについて、「聞いたことがありません」と口をそろえた。

   ただ、アジア大平洋地域の20か国弱で、IAEA(国際原子力機関)の支援を得て、低濃度汚染水の放出による海洋への影響を各国が調査するプロジェクトが行われることになったとした。IAEA が2011年6月8日に発表し、日本も入ることになった。上杉隆さんが言う会議は、これを指すらしい。

   もっとも、外務省の国際原子力協力室によると、プロジェクトは、あくまでも放射性物質の濃度を調べるための技術協力の場であり、海洋汚染の賠償金が話し合われるような場ではないという。

   原発事故による海洋汚染が国連海洋法条約違反になることはどうか。

   この点について、外務省の海洋室では、過去に問われたケースがなく、今回も対象にならない可能性があるとした。そもそも、汚染防止のために実行可能な最善の手段を用いて自国の能力に応じて必要な措置を取ることが194条でうたってあるだけで、違反への罰金規定などはない。

   さらに、ロンドン議定書に至っては、外務省の地球環境課は、原発事故は直接関係がないと言い切る。陸上で発生した廃棄物を船で沖合に運んで捨てる行為を4条で規制しているだけで、船以外は想定していないからだ。

   とはいえ、国際原子力協力室では、「IAEAのプロジェクトとは別に、各国内での賠償請求の議論はありうると思います」としている。

   国際賠償の可能性について、ネット上では、様々な意見が出ている。

   脇田栄一さんのブログが紹介された「ブロゴス」のコメント欄には、「『備えあれば・・・』という意味の記事として、肯定的に捉えても良い」「金が欲しい国に有効な外交カードを与えることにはなるな」といった賛意から、「他国の原発事故や核実験では非難は起きたものの、国家間の賠償問題に発展したか?」「同様なリスクを抱える国もあるのでそこまでやるかな」といった疑問まであるようだ。

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