2024年 4月 26日 (金)

新たなコミュニティ作り 仮設で「移動茶のみ場」【岩手・大槌発】

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震災後に生まれた4か月の赤ちゃんも参加した賑やかな”お茶っこ飲み”=安渡第2仮設団地で
震災後に生まれた4か月の赤ちゃんも参加した賑やかな”お茶っこ飲み”=安渡第2仮設団地で

(21日大槌発=ゆいっこ花巻;増子義久)

   「お茶っこ飲みこそがコミュニティの原点」―こんな呼びかけのもと「いわてゆいっこ花巻」は21日から大槌町内の仮設住宅で「ゆいっこお茶っこ」カーの運行を始めた。かつての隣組が解体させられる形で仮設住宅への入居が進められた結果、孤独感や疎外感に悩む被災者が増えつつあるため、新しいコミュニティの再生を目指すことになった。


   第1回目のこの日は安渡小学校の校庭に建てられた「安渡第2仮設団地」の集会所で開かれ、スタッフ8人に花巻市内に転入した被災者5人が同道した。同団地の入居者は34世帯。集会所には30人以上が集まり、スタッフが用意したお茶や茶菓、軽い昼食をともにしながら、久しぶりの再会を喜び合った。


   安渡出身の中村百合子さん(68)は避難所に当てられていた安渡小学校でずっと、厨房を担当してきた。今は少し離れた仮設住宅に住んでいるが、避難所生活で苦楽を共にした人たちとの再会を楽しみにやってきた。「苦しかったけど濃密な人間関係だった。みんなバラバラになってしまったけれど、仮設ごとに新しいコミュニティを作りあげて行かなければ」と中村さん。


「やっぱり、安渡が一番だ。ここが生まれ故郷だもの」―。花巻市内の雇用促進住宅に住んでいる黒沢ヨシさん(75)は懐かしい顔ぶれとの会話に時を忘れた。避難所生活も一緒だった同級生の奥さんが9月中旬、病死したことをこの場で知らされた。「お線香をあげさせてもらった。故郷のとの縁を切らさないためにも"お茶っこ飲み"は続けて欲しい」


   「安渡第2仮設団地」の住人のうち、地元・安渡出身者は三分の一ほど。まだ、隣近所との付き合いもぎこちないが、この日は"新住民"の参加も目立った。今後、大槌町内や釜石市内の仮設住宅に定期的に「ゆいっこお茶っこ」カーを走らせ、新しい地域づくりの拠点として、"お茶っこ飲み"を定着させることにしている。

<ゆいっこお茶っこ>(趣旨)


   ぼくらの復興支援―「いわてゆいっこ花巻」では被災者の皆さまと一緒にお茶でくつろぐための「ゆいっこお茶っこ」カーを仮設住宅で運行することにしました。いわば、"御用聞き"を兼ねた移動茶のみ場です。お茶っこ飲みこそがコミュニティの原点と言われます。皆さまが抱える課題や悩み、不安などを語り合い、将来の生活再建に向けた一里塚になることができればという願いです。


   提供するお茶は通(つう)がお勧めする九州は熊本・水俣産の完全無農薬茶です。ご存じのように水俣市は公害の原点と言われた「水俣病」の惨禍に見舞われました。いま、街のあちこちには「茶のみ場」(CHANOMI BAR)が設置され、まちづくりを話し合うコミュニティ再生の拠点になっています。


   水俣病の患者に寄り添い続けてきた作家の石牟礼道子さん(80)は東日本大震災と同じ日に生まれた偶然に驚き、こう語っています。「亡くなった人たちの魂が伝えようとしている遺言に向き合わなければ、日本は滅びると思います。でも、受けとめて立ち上がった時、今までとは異なる文明が出来上がるのではないでしょうか」


   北と南の記憶を結(ゆ)い直し、茶のみ場を新しい時代のスタート台に!!



ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
ゆいっこは、「花巻」「盛岡」「北上」「横浜」「大槌」の各拠点が独立した団体として運営しておりますが、各拠点の連携はネットワークとして活用しております。
■ホームページ http://yuicco.com/
■ツイッター @iwate_yuicco

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