前任者の2人と比べて堅実な政治性
少し前のことになるが、米ワシントンポスト紙(電子版)は2012年4月19日、「日本は難しい決断を下せるか」と題した記事で野田首相を取り上げた。自民党政権下の安部晋三元首相以降6人目の首相として、「最も賢明」と持ち上げている。
記事では、首相が消費増税や原発再稼働に加えて、沖縄の米軍基地問題の解決、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加と、4項目の課題を同時に手がけようとしている点に触れ、首相自身が同紙のインタビューに「いずれも有権者の理解を得るのは簡単ではない」と漏らしていた。首相の横顔について記者は、「カリスマ性が薄く、人物像が国民に浸透しておらず、何よりも融和を重視する日本の伝統的な指導スタイルに戻った面がある」と批評。だが一方では、「派手ではあったが状況を全く理解していなかった彼の前任者の2人」と比べて、堅実な政治性は期待できるとした。
さらに野田首相が、自身が掲げる方向性を継続して進むことができれば「他の民主国家のリーダーにとって、よいお手本となりうる」と期待した。
この記事掲載から約2か月、野田首相は消費増税を「自ら進むべき道」として衆院での採決に踏み切った。韓国中央日報(日本語電子版)は6月27日の社説で、「消費税増税法案が日本衆議院で可決されたのは、野田佳彦首相のリーダーシップの勝利といえる」と論評。強いリーダーシップや、ぶれない姿勢を評価する海外メディアがある半面、党が分裂寸前に追い込まれている厳しい現状の報道も少なくない。