2018年 7月 21日 (土)

朝日記者に中国で称賛の声 「暴行受けても真相に迫った」

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   中国江蘇省南通市啓東でデモを取材していた朝日新聞の奥寺淳・上海支局長(41)が現地の警察官から暴行を受けたが、中国のネット上では奥寺支局長を擁護する声が高まっている。

   奥寺支局長は、2011年に浙江省の温州で起きた高速鉄道の衝突事故で、当局が事故車両を重機で壊して埋める様子をスクープしたことで知られる。この事故をめぐっては、現在でも報道規制が続いているとみられることもあって、中国のネット上では、奥寺支局長に同情的な声も聞かれる。

警察官にカメラ奪われ、蹴られる

   奥寺支局長が取材していたデモは、南通市当局が計画していた王子製紙工場の排水用パイプラインの建設に反対するもの。当初は、「排水が環境汚染を引き起こす」といった趣旨のデモだったが、いつのまにか格差や政府の汚職批判にすり替わって暴徒化。12年7月28日には、デモ隊が政府庁舎に流れ込み、窓ガラスを割るなどした。当初は警官隊は静観していたが、後に反撃に転じデモ隊に暴行するなどした。

   その様子を取材していた奥寺支局長は、突然カメラを奪われ、取り囲んだ警官隊15~20人に地面に押しつけられたという。記者だと名乗ったにもかかわらず、20秒間に渡って蹴られたり、体の上に飛び乗られるなどしたという。暴行後に見せた記者証も取り上げられた。

   朝日新聞社は、渡辺勉・国際報道部長の名前で

「正当な取材活動に対して加えられた極めて悪質な妨害であり、看過できません。中国政府に抗議し、謝罪と、カメラと記者証の返還を求めています」

とするコメントを出している。

   今回のデモをめぐっては、中国国営メディアでも短く報じたが、奥寺支局長に対する暴行については伝えていない。香港メディアがわずかに事実関係を報じている程度だ。

   だが、中国版ツイッターにあたる「微博」では、暴行を伝える朝日新聞の電子版の画面をキャプチャーしたものが出回るなどして、中国のネット利用者にも、少しずつ事実関係が伝わっているようだ。

高速鉄道の衝突事故取材では高い評価

    中国のネット利用者の受け止め方は、もちろん様々だ。

「(奥寺支局長が)外国人だとは分からなかったのではないか」

と、警官隊の行動を擁護するものもあれば、

「犬みたいな日本人は打ち殺されてしまえ」

などと相変わらず日本人の罵倒を続けるものもある。

   だが、奥寺支局長のこれまでの活動を評価する書き込みも相次いだ。例えば、ある書き込みでは、7月24日に掲載された奥寺支局長の記事「追悼行事なく主要メディアも沈黙 中国高速鉄道事故から1年」の見出しを紹介しながら、記者として「高い力量を持っている」と評価。別の書き込みでは、

「奥寺淳は、今年の日本で最も良い新聞報道をした人に贈られる賞を取っている」

とある。これは、奥寺支局長が高速鉄道事故関連の報道で、国際理解に貢献したジャーナリストに贈られるボーン・上田記念国際記者賞」(11年度)を受賞したことを指すとみられ、書き込みでは、

「彼の経歴は中国人にも役立つ。真相に迫る人に敬意を表したい」

と奥寺支局長を称賛している。

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