2024年 5月 5日 (日)

客足が途絶え「店を開けている意味がない」【福島・いわき発】

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   夏井川渓谷に「山の食。川前屋」がある。川前の農産物や加工品の直売所だ。今はシャッターが下りたままになっている(=写真)。


   3・11前は、春から秋まで週末に開店し、それなりににぎわっていた。同じ溪谷にある無量庵よりは上流、車で10分ほどのところにある。季節の野菜のほか、梅干しやみそ漬け、キノコなど「川前の味」を買い求める楽しみがあった。


   川前の知人によると、3・11後、客足が途絶えた。店の前を行き来するのは川内村で除染作業をする車だけ、というのは極端にしても、行楽客が激減した。客が来ないのでは、店を開けている意味がない。で、開店期間は春の2カ月、秋の2カ月に限定した。この秋は10月6日に再開される。


   夏井川渓谷は3・11前、アカヤシオが開花する春と紅葉が燃える秋、道路に止まった車で交通が渋滞するほどにぎわった。3・11後、路上駐車はほとんど見られなくなった。去年の紅葉、今年のアカヤシオの時期、やって来たのは主に高齢者だった。


   先日、ドライブを兼ねて無量庵の前にそびえる山の向こう、三和町の直売所へ出かけた。漬物とネギを買った。


   直売所で漬物を買うのは、「おふくろの味」に触れたいからだ。が、それに反するような漬物に遭遇するときもある。どこの直売所というわけではないが、ラッキョウの甘酢漬けやナスの漬物が十分漬かっていないうちに店頭に並ぶ。中まで味がしみとおっていない、硬い、となれば、次は二の足を踏む。


   そんな不満が蓄積していたときに、借り上げ住宅を訪問した交流スペース「ぶらっと」のスタッフが、被災者がつくったというナスの漬物を持って来た。表面の紺色がきれいに保たれ、中まで味がしみてやわらかかった。秋ナスのうまさを久しぶりに堪能した。直売所で買いたいのは、こういう漬物だ。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
■ブログ http://iwakiland.blogspot.com/

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