野田佳彦首相は2012年10月1日午後、首相官邸で記者会見を開き、第3次改造内閣の閣僚名簿を自ら発表した。その中で、中国が反発を強めている尖閣諸島の問題について、「領有権の問題は存在しない」との従来の立場を「堅持しなければならない」と述べた上で、「どうやって、クールダウンさせていくか可能性を探ることが大事」と、日中間の対話を進めていきたい考えを示した。従来の立場は「堅持していきたいと考えているし、堅持しなければならない」内閣改造について会見する野田佳彦首相尖閣諸島の問題をめぐっては、野田首相がニューヨークで行われた国選総会後の会見で、「妥協はあり得ない」と述べ、中国側が「敗戦国が戦勝国の領土を占拠する道理はない」などと強く反発している。野田首相は今回の会見でも、「国際法上も歴史上も我が国の固有の領土だということは間違いない上に、今有効支配しているという現実がある。従って、領有権の問題は存在しないというのが我々の立場、この基本的な立場は堅持していきたいと考えているし、堅持しなければならない」と従来の主張を繰り返した。反面、「冷静に理性的に対応するという意味においては、中国も独自の主張があるが、様々なチャネル、対話を通じて、どうやって、いわゆるクールダウンさせていくかを、可能性を探ることが大事」と、中国側の主張を踏まえた上で、何らかの形で「落としどころ」を見つけたい考えも示した。さらに、竹島問題との違いについては、「尖閣には領有権の問題は存在しないのだから、竹島と同じように主導的にICJ(国際司法裁判所)に対して付託をすることは考えない。中国もICJに付託したことはないし、現実、そのような動きはない」と述べた。真紀子氏入閣「日中関係配慮説」は否定今回の内閣改造では、民主党の城島光力前国会対策委員長が財務相、樽床伸二前党幹事長代行が総務相に内定するなど、新たに10人が入閣。その中でも目を引くのが、田中真紀子元外相だ。田中氏の起用の理由について首相は、「科学技術庁長官、衆院の文部科学委員長を歴任するなど、文部科学行政に通じていることに加え、持ち前の発信力を政策面で発揮することを期待している」などと説明。日中関係に配慮したとの見方については、「外務大臣に選んだ訳ではない」「日中関係が云々で文部科学大臣を選ぶということはあり得ない」と反論した。17時から皇居で認証式が行われ、19時15分から初閣議が行われる。
記事に戻る