安倍氏の「日銀国債引き受け」発言 実は「買いオペ」省いた「誤報」だった

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   金融緩和圧力を務める自民党の安倍晋三総裁が、「禁じ手」とされる「日銀の国債引き受け」を求めたとして、与党や日銀、財界から猛批判を浴びている。

   だが、元々の発言を見ると、安倍氏が念頭に置いていたとみられるのは、「買いオペ」と呼ばれる日銀の通常業務。この「買いオペ」の単語が省かれて伝わったのが批判の原因だが、安倍氏が繰り返し発言を否定しても、誤った発言を前提にした批判や議論が絶えない。

   批判されているのは、安倍総裁が2012年11月17日に熊本市内で行った講演の内容。正確には、

「やるべき公共投資をやって…。これは、国債を発行しますが、建設国債、これはできれば日銀に全部買ってもらう、という買いオペをしてもらうことによって、新しいマネーが。いわば強制的に市場に出て行きます。景気には、いい影響がある」

と発言していた。

国債の日銀直接引き受けは財政法で禁じられている

安倍総裁発言で、誤った前提の議論が続いている
安倍総裁発言で、誤った前提の議論が続いている

   この発言は、日経新聞が同日15時30分に、

「『建設国債をできれば日銀に全部買ってもらう。新しいマネーが強制的に市場に出ていく』と述べ、日銀が建設国債を全額引き受けるのが望ましいとの考えを表明した」

と報じ、産経新聞も15時38分に、

「『やるべき公共投資をやり、建設国債を日銀に買ってもらうことで強制的にマネーが市場に出ていく』と述べ、政権復帰した場合、建設国債の日銀引き受けを検討する考えを示した」

と追いかけた。

   「買いオペ」(公開市場操作)とは、日銀が市場から債券や手形を買うことを指し、日銀は日常的に行っている。それに対して、「日銀の国債引き受け」は、財務省が建設国債を発行する際、通常は市場を通すが、日銀に直接引き受けてもらい、それによって得られた現金を公共事業に振り向ける、というもの。この手法は、戦前、軍事費を調達するために行われたことがあるが、財政支出に歯止めがかからなくなり、物価は数十倍に暴騰。この教訓から、戦後は財政法で日銀が国債を直接引き受けることを禁じている。

   各社が安倍氏の発言を引用する際に「買いオペ」という単語を省いたため、「禁じ手」とされる「日銀による国債の直接引き受け」が安倍氏の発言だと誤解され、広く報じられてしまった。

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