2024年 4月 21日 (日)

TBS記者のプーチン大統領への質問 ネットでは批判する声が大半だが…

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   安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領がモスクワのクレムリンで会談し、経済協力を拡大する中で領土問題をめぐる交渉を加速させることで一致した。会談後に行われた共同会見で、日本側の記者がプーチン大統領をいらだたせる一幕があった。

   ネット上では「バカ記者のせいで雰囲気悪くなってる」といった記者批判の声が相次いだが、逆に「直截に質問したことを評価すべき」との声もある。

両国記者が2問ずつ代表質問

   共同会見は2013年4月29日の22時過ぎから約50分にわたって行われ、その模様は国内でもNHKで生中継された。冒頭、プーチン大統領と安倍首相が10分ずつ発言。安倍首相は、

「今回の訪問が、今後の日ロ関係の発展に新たな弾みと、長期的な方向性を与えるものになったと確信する」

と訪ロの成果を強調した。冒頭発言後、ロシア側記者から2問、日本側から2問の代表質問が行われた。4問目の日本側(TBS)の質問にプーチン大統領が反発。ネット上で記者に対する批判が広がった。

   1~3問目は、

「経済協力の促進が、平和条約締結に向けた交渉にどのような影響を与えるか」
「北方領土交渉を、どのようなスピード感を持って進めたいと考えているか」

といった、会談の内容を比較的肯定的にとらえたものだったが、4問目の質問は、かなり角度が違うものだった。質問では、北方領土のインフラ整備が進んでいることなど、ロシアによる実効支配が強まっていることを指摘した上で、

「日本にとっては、受け入れ難いような状況になっていると思うが、安倍総理はどのような認識をお持ちか」

と安倍首相の見解を質した。プーチン大統領に対しても、

「ロシア政府は今後も同じような政策を北方領土に対して継続する考えか。そしてその場合、日本との領土交渉への影響については、どのように考えるか」

と見解を求めた。

   安倍首相は、

「今回の共同声明において、『双方の立場の隔たりを克服し』とあるように、重要なことは、そのような問題を根本的に解消するために北方領土問題を解決するしかないということ」

と無難な返答だったが、プーチン大統領は明らかにいらだった様子で、

「私が今、注目したのは、記者の方が、この質問を紙から読み上げていたこと。この質問を、多分ほかの人からもらったと思うが、その人に対して、次のことを伝えていただきたいと思う」

と記者が紙を見ながら質問していたことを皮肉った。会場からは笑い声も起こった。

   プーチン大統領は、問題解決には両国間の信頼関係の醸成が必要だとした上で、

「もし、この(領土問題解決の)プロセスにおいて、妨げを起こしたいならば、それも可能。 そのためには、激しくて直接な問題、直接な質問をして、同様に激しくて直接な回答をもらうことができると思う」

と述べた。

TBSキャスター「私もあの場にいたら、同じ質問をしたと思う」

   一連のやり取りは「NAVERまとめ」などで拡散し、「まとめ」の中で紹介された声は、

「空気が読めない」
「生産的でない」
「バカ記者のせいで雰囲気悪くなってる」

といった記者を批判する声が大半だ。

   今回のプーチン大統領の会見に限らず、首脳による共同会見では質問数が各国ごとに1~2問に制限されるのが一般的だ。このため、限られた機会で効率的に答えを引き出すために、記者の間で事前に代表質問の内容を調整することは珍しくない。今回も、この慣例にのっとったとみられる。

   質問を擁護する声もある。ジャーナリストの竹田圭吾さんは、ツイッターで、

「記者が会見で空気読んでどうするんですか。ローマで日本の財務大臣が明らかに酔った様子で表れたときにそのことについて何も質問しなかったのが偉いのか。ロシアの不法占拠に憤っている人は記者が直截に質問したことを評価すべきでは」

と指摘している。

   TBSも一連のやりとりを4月30日の夕方のニュース番組「Nスタ」で紹介し、竹内明キャスターが、

「記者は当然の質問をぶつけただけ」
「私もあの場にいたら、同じ質問をしたと思う」

と論評した。

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